月曜が憂鬱…「サザエさん症候群」を解消できる「脱感作療法」とは
会社に行きたくない、集中力が続かない、ついお酒を飲みすぎてしまう……。こうしたお悩みを脳科学と臨床心理学で解決してくれるのが、テレビでもおなじみ、篠原菊紀先生。篠原先生の著書『「しなやか脳」でストレスを消す技術』から、不安やストレスの多い今だからこそ身につけたい、「しなやか脳」になるためのノウハウをご紹介します。
日本人はみんな「不安症」
日曜日の夜からすでに憂鬱。夜が明けたら会社に行かなくてはならない。嫌みな上司にダメな部下、ウザい同僚。イヤなことがたくさんある。出社したくない。特に休み明けの月曜日は出社したくない……。 その気持ち、よくわかります。確かに月曜日の朝は憂鬱です。わたしも気分が沈みがち。これは多くの人も共感できる悩みでしょう。 以前、ある大企業の社員を対象に毎朝血液を採る実験をしたことがあります。血液中のストレス物質(コルチゾールの代謝産物)と、ストレスに抵抗するホルモン(デヒドロエピアンドロステロン)の分泌量を調べたのです。 それを曜日別で集計したところ、やはり月曜日にストレス物質の分泌が多く、週末に向けて減っていきました。一方、ストレスに抵抗するホルモン、いわば元気ホルモンの分泌は月曜に少なく、週末に向けて増えていきました。 土日ガンガン遊ぶ人も、週末ぐったり寝て過ごす人も同じ傾向でした。つまり月曜日が憂鬱なのは恐らくあなただけじゃない。隣で元気そうにしている同僚も、実はドンヨリ気分だったり、何だか身体が重かったり。 そもそも、わたしたち日本人の多くは、不安を感じやすい遺伝子を持っています。社会的な脅威に対して過剰な反応をしてしまったり、ついついネガティブにものごとをとらえがちだったり。 心の安定に強くかかわる脳内物質にセロトニンがあります。このセロトニンに関係する遺伝子に「5-HTTLPRのSタイプ」があり、これがその「不安遺伝子」です。 セロトニンを再利用するための穴を作るのに5-HTTLPRがかかわるのですが、このSタイプを持つと穴の数が少なくなり、セロトニンが再利用されにくくなり不足しやすくなります。すると心の安定が得られにくく、先々を心配しがちになるというのです。 このSタイプ、遺伝子は対なので、ふたつ持つ人、ひとつ持つ人、ひとつも持たない人がいるわけですが、デルブリュックらによればアメリカ白人でふたつ持つ人は40.4%、アメリカ黒人では24.5%。しかし、日本人では73.3%がふたつ持っています。ひとつ以上なら何と98%。 そんなわけで、日本人の大多数はそもそも不安を抱えやすい可能性が高い。ネガティブにものごとをとらえやすいのです。