「ゴミ屋敷になった部屋に彼女を呼びたい」“無気力状態”から部屋が荒れてしまった男性が、2時間で「ゴミ屋敷」を片付けた結果
筆者もネットワークビジネスの現場を取材していたことがある。主に中小企業に勤める、収入がそこまで高くない単身の会社員がメンバーには多かった。ネットワークビジネスのグループに入ると、かなりの頻度で「集まり」が開かれる。 メンバーたちはそれぞれ知人をその「集まり」に呼んでネットワークを広げていくのだが、ここに割く労力でプライベートの時間がほぼ失われてしまう。そして、人間関係がネットワークビジネス界隈だけに集約されていき、成績で他人と自分を比べたり比べられたりして、疲弊してしまうのだ。
■ゴミ屋敷には彼女を呼べない 「近所の人に見られたくない」 見積もりの際、男性はイーブイにそう希望を伝えた。ワンルームの片付けは2名のスタッフで行うこともあるが、今回はスピード重視のため全員で5名。2名が室内でゴミを袋に詰め、2名が外へゴミを運び出し、1名がその間に入る。 「なんでこんな溜め込んでたんやろ、ホンマに」 モノの仕分けをしながら男性がスタッフにそう話した。二見氏いわく、普段周りに相談できる相手がいない人ほど、スタッフに対して心を開いてくれる傾向にあるという。
たしかに、作業スタッフはあくまでお金を払って作業をしてもらう人であって、プライベートなことはあまり話さないのが普通かもしれない。しかし男性は、スタッフたちに部屋を片付けようと思った理由を話してくれた。 「実は2カ月くらい前に彼女ができたんです。そういうきっかけができたら片付けの意欲が出てくるかなと思ったんですけど、それでも頑張れなかったので、これはもう諦めたというか観念したんです。自分の力で挽回するのは難しいなという結論に至り、お願いすることにしました」
ゴミ屋敷に彼女を呼ぶことなんてできない。だから片付けを決意したのだ。ゴミ屋敷の住人が心を開いてくれたとき、イーブイが気をつけていることがある。それは、自分たちも楽しそうに片付けをすることだ。 「依頼主さんには少なからず後ろめたい気持ちがあります。そこで僕らが『汚いな』とか『これもゴミですね』とか、否定的な言葉を使えば傷ついてしまい、万が一またゴミ屋敷になったときに業者に電話することすらできなくなってしまうかもしれません。私たちも楽しんで作業をすることで、依頼主さんの羞恥心が消えていくんです」(二見氏)