阪神投手陣、来シーズンは?オフの過ごし方に注目する野田浩司氏「肩肘は完全休養も頭はフル回転」
藤川球児新監督(44)のもとに覇権奪回を目指す阪神が秋季キャンプをスタートさせた。この先はオフシーズンに自主トレを挟んだ訓練と調整の難しい準備期間となるが、デイリースポーツウェブ評論家の野田浩司氏は独自の投手目線で、各選手のオフの過ごし方に注目する。 ◇ ◇ ◇ ◇ 秋季キャンプは自分の足りないところを補ったり、徹底的に長所を磨いたり、個々の目的に沿って取り組むものだが、選手としてはその後の過ごし方にも神経を遣った方がいい。 僕は投手出身なので投手目線で話すことになりますが、1年間投げてきた疲労は必ず残っているはず。 17勝した翌年は、オフにしっかり休んでキャンプに臨んだつもりだったが、ブルペンに入ると「ちょっと違うなあ。何かおかしいなあ」という違和感があった。 結局、シーズンに入って6月の途中までに2勝しかできず、ずっとそんな感じが続いてた。 (野田氏はオリックスへ移籍した1993年に17勝5敗、防御率2・56の成績を残した。投球回225。17完投。奪三振209。 翌94年は12勝11敗、防御率4・24。投球回193。11完投。奪三振213だった) オフの間に“完全武装”してキャンプに入ったつもりだった。シーズン中も映像による投球フォームの見直しなど、いろいろやったけど結局、分かっているつもりでも分かっていなかった。 やっぱり自分というものを把握しているのが一番。そのためには「振り返り」や「見直し」を常にやって、チェックポイントを知っておくことが重要です。スランプになる原因は必ずあるから、崩れたときの戻し方を確かめるためにね。 阪神でいうと昨年、初勝利から一気に10勝し、防御率も1・75と素晴らしい成績を収めた村上ですね。今年は7勝止まりで、壁にぶつかった様子だった。何か狂いが生じたのかもしれない。 2軍やアマチュア選手なら崩れているときは周囲からでも分かるものだが、レベルが上がるとなかなか“他人”には分かりづらい。 例えば軸足に体重を乗せたときのウエート配分ですね。カカトと、つま先のバランス。腰の位置はどうなっているかなどの感覚的なものは、本人にしか分からないですからね。本当に繊細なポジションですよ。 メカニック的なものだから崩れると途端におかしくなる。ただし、狂いに気づくと戻しやすいとも言えるんです。 打者で重要なのはタイミングでしょう。タイミングは機械的に理解するものではないので、ここが大きな違いだと思いますね。 今年、阪神の勝ち頭は13勝の才木。彼は突然頭角を現した投手ではないので心配ないでしょうが、オフの過ごし方には慎重になった方がいいと思う。 肩や肘をできるだけ休めて疲労を取り除いてほしい。ただし、自身の投球フォームについては正月でも休みなく考えるぐらい、しっかり意識した方がいいですね。 各球団とも今はオフでも休まない選手が多い。年中、野球と向き合っていて立派ですよ。 でも、やり過ぎたウエートトレで不必要な筋肉をつけるケースも散見されます。そのへんはバランスを考えて、このオフを上手に乗り切ってほしいですね。