オールブラックスの司令塔ボーデン・バレット選手が華麗なるラグビー人生で大切にしてきたこと
── 小さな子どもがその時間に起きて観戦するほど、熱狂的なんですね。 バレット その頃から、オールブラックスへの強い憧れを抱いて来ました。父がラグビー選手としてオールブラックスの選手達とプレーする姿を見て、ヒーローは実在するんだと感動したのを覚えています。 ── 以前所属していた時と今回では、その心持ちに変化はありますか? バレット 以前はまだプロフェッショナルとして未熟だったと思います。年齢も若く、チャレンジする立場といったところでしょうか。しかし、年齢や経験を重ねた今回は、チームを引っ張る立場になります。より責任が増え、プレッシャーも感じています。これまで以上に高いレベルが要求されるでしょうからね。プレーによって、自分のポジションをしっかりと示してゆく必要があると思います。 ── 兄弟3人が揃ってオールブラックス※というのは、どんな気持ちですか? バレット 私にとって、これはかなり重要なことです。前回のワールドカップで敗戦した際に、まだ自分は終わりではない、やり残したことが沢山あると感じていました。オールブラックスに復帰し、再び頂点を目指して戦ってゆくわけですが、兄弟の存在はとても心強いです。 ※バレット選手は8人兄弟だが弟のスコットとジョーディーもラグビー選手でオールブラックスに選出された経験を持つ。2019年のワールドカップ日本大会では史上初の「3兄弟スタメン&全員トライ」を達成した。
日本への思い、そしてファッションへの思い
── 日本のチームに参加してのプレーは、ボーデンさんにどんな影響を与えましたか? バレット 日本にはピーターステフ・デュトイ※をはじめ、世界中から優秀な選手が集まっています。様々な国の選手とプレーできたことで、今まで経験したことがないスタイルを学ぶことができました。これは、大きな収穫でしたね。 ── 確かに、世界各国の有力な選手達と日常的にプレーできるのは貴重ですよね。 バレット それと、日本のラグビーはスピーディで正確。これも、オールブラックスで活かせることだと思います。ニュージーランドでずっとプレーしていたら、こうした学びは得られなかったでしょう。 また、ファンの方々の応援する姿勢に感銘を受けました。ミスをした時にヤジを飛ばす人はいなく、常にチームに対して忠実に応援してくれました。ただ、今年は怪我もあり十分なプレーで応えることができなかったので、悔いが残っていますが。 ※ラグビー南アフリカ共和国代表 (スプリングボクス)として2019年ラグビーワールドカップ日本大会において優勝に貢献した。