まさに、かつての常識をひっくり返した…深海底からの「驚きの報告」
生まれたばかりの地球の環境
では、生まれたばかりの地球ーー今日では、地球ができてから41億~38億年前の後期隕石重爆撃期までの期間は「冥王代(めいおうだい)」ともよばれていますーーは、どんな環境だったのでしょうか。 かつては、冥王代の地球は非常に高温で、表面がどろどろに融けていたとされていました。 ところが米国ウィスコンシン大学のグループは、西オーストラリアのジャック・ヒル地域を調査して、約44億年前に生成したジルコン粒子(ジルコニウムを含む鉱物)を発見し、2001年に『ネイチャー』誌に報告しました。その炭素安定同位体比からは、マグマが海水と反応したことで、この鉱物ができたことが示されました。 つまり、44億年前にはすでに「海」があったことになるわけです。 以上のことをつなぎ合わせると、最初の生命が誕生した時期について、どんなことが考えられるでしょうか。
生命誕生に要する期間は、意外に短い!?
約45億6千万年前に地球が誕生してから2億年くらいたつと、もう海ができ、生命が誕生しうる環境ができていたようです。 しかし、41億年前くらいからの後期隕石重爆撃により、生命を育む海が消滅し、次に海が復活するのは重爆撃が終息する38億年前くらいであったと考えられます。そして、生命はその38億年前くらいには誕生していた可能性が高いようです。 ということは、生命が存在しうる環境ができてから、実際に生命が誕生するまでの時間は、けっこう短かったといえるのではないでしょうか。 最後期重爆撃期と同時期、あるいはそれより前に、生命が存在した可能性を示唆する研究もあります。もし、それらが正しいとすれば、後期重爆撃期はなかった、ということになるかもしれません。 あるいは、後期重爆撃期よりも前に誕生した生命の一部が重爆撃期を生きのびた、またあるいは、重爆撃期前の生命がいったん絶滅したあと、私たちにつながる新たな生命が誕生した、などの可能性も考えられます。今後の研究の進展が期待されます。 いずれにせよ、生命が誕生しうる環境ができてから、実際に生命が誕生するまでには何億年もかからないようです。これは生命と非生命(単なる有機物)の比較からもいえることです。 生命の特徴は、代謝しながら自己複製することでした。これを言い換えれば、生命は自分が壊れるより前に、増殖しなくてはならないということです。 しかし生命ではない単なる有機物、とくにタンパク質とか核酸のような機能を持った生体有機物の寿命はかなり短く、とても何万年ももちません。有機物が長い時間をかけて少しずつ海や池に蓄積していって、やがて高濃度になって生命ができた、というようなことはありえないのです。 では、最初の生命はどこで誕生したのでしょうか。
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