インドにはないけど、パキスタンにはある?! 世界の肉じゃが、アジア編
日本の国民食とも言える肉じゃが。肉じゃがについてなら、誰でもいろいろ語れると思います。でも、意外とその歴史は浅く、100年前には、日本に肉じゃがという料理名(レシピ)は存在していなかったのです。 【写真】パキスタン、ウズベキスタン、フィリピンの肉じゃがを見比べてみる そんな日本の肉じゃがについて、その時代背景と、レシピを考案した料理家・料理人について詳細に記し、それぞれのレシピを写真入りで紹介したのが、こちらの新刊 『日本の肉じゃが 世界の肉じゃが』(新星出版社)。著者は、生活史研究家としてたくさんの著書がある阿古真理さんです。 歴史をたどっていくと、2010年代後半には、「肉じゃが戦国時代」に入ると言います。インスタ映えという言葉が生まれ、電子レンジの活用、時短レシピも次々と発表されるように。 電子レンジの達人、山本ゆりさんのレシピは、「塩肉じゃが」。2019年の『syunkonカフェごはん レンジでもっと!絶品レシピ』(宝島社)からの出典です。塩と鶏がらスープの素で味付けする和食越えの味で、手軽さが魅力。 「日本の肉じゃが部門」には、1964年から2024年まで23人の料理家のレシピが載っていますが、そちらは本で読んでいただくとして、こちらでは「世界の肉じゃがいも」から3回にわけて、その背景とレシピの一部を抜粋記事でお届けします。 今回はアジア編です。 世界の味をどうぞ試してみてください。
パキスタンのキーマカレー
インドを長く支配したムガル帝国は18世紀初めに力を失い、地方勢力が軍事抗争をくり返すようになりました。そこヘイギリスとフランスの東インド会社が介入し、19世紀半ばにイギリスの植民地になりました。イギリスがヒンズー教徒とイスラム教徒を分割統治した結果、第二次世界大戦後に独立する際は両教徒が対立し、パキスタンはインドと戦争後に分離・独立しました。 どちらの国でも土地を追われる人々がたくさん出ましたし、インドでガンディーが暗殺されるなど、独立は強い痛みを伴ったのです。 牛肉を食べないヒンズー教のインドでは、ベジタリアンが多いせいか基本的に肉は肉だけ、野菜は野菜だけで調理します。 肉じゃがは成立しにくいのですが、 イスラム教国のパキスタンには、牛ひき肉を使った「アルー・キーマ」という料理があります。