勝利余韻吹き飛ぶ…FC東京の五輪世代2人が規律違反で自宅謹慎
ベガルタ仙台を2-1と逆転して手にした、今シーズン初の連勝の余韻が吹き飛んだ。ともに東京五輪世代の主軸選手、22歳のGK波多野豪と23歳のMF安部柊斗が先発どころか、ベンチからも外れていた理由を問われたFC東京の長谷川健太監督が、衝撃的な舞台裏を明らかにしたからだ。 「彼ら2人がチームのルールというか、規範に反する行動を取り、チームの方からペナルティーが下ったということで、今日は使わなかったということです」 チーム規範に反する行動とはいったい何なのか。ホームの味の素スタジアムで21日に行われた、明治安田生命J1リーグ第6節後のオンライン取材がすべて終わった後に急きょメディアに対応した、FC東京トップチームマネジメント部の古矢武士部長が状況を説明した。 「2人に関しては、18日にコロナ感染の予防に関するチームの規則を破ったことで、19日から自宅で謹慎させています。非常に感染のリスクのある行動を取ったことが、コロナ感染の陽性になりうる可能性のある会食が発覚したということです」 FC東京は17日に味の素スタジアムで行われた明治安田生命J1リーグ第5節で、湘南ベルマーレに3-2で逆転勝ちしていた。波多野は開幕戦から続けるフルタイム出場を「5」に伸ばし、同じく開幕からフルタイム出場を続けていた安部も後半11分から途中出場。3試合ぶりの勝利の喜びを分かち合った翌18日の夜に、新型コロナウイルス禍でチームから禁止されている会食に繰り出していた。 会食した相手がチーム外部の人間だったと認めた古矢部長は、会食そのものに関する詳細は明かせないとした上で、波多野と安部に謹慎処分を科すまでの経緯をこう説明している。 「情報をもらって事情聴取した結果、本人たちが会食を認めました。本人たちも反省していましたが事実は事実であり、他のクラブのコロナ感染という事情もあります。それが原因でクラブ内にクラスターが発生しないように、事前に即、止めたというのが今回の対処です」 今シーズンのJリーグでは、浦和レッズのMF柏木陽介とFW杉本健勇が2月の沖縄キャンプ中に、チームで禁止されていた外食へ繰り出していたことが発覚。厳重注意と罰金処分が科され、さらに柏木は昨秋から繰り返し規律を破ったとして、リカルド・ロドリゲス新監督が受け入れを拒否。退団せざるをえなくなった柏木は、今月12日にJ3のFC岐阜への完全移籍が発表された。 感染経路などの詳細は明らかにされていないものの、ガンバ大阪では2月下旬の開幕節を終えた直後にチーム内でクラスターが発生した。チームは活動休止を余儀なくされ、3月中に予定されていたリーグ戦6試合がすべて延期。代替開催日やスタジアムなどを確保する作業に追われている。 万が一、延期された試合の代替開催が不可能となった場合、今シーズンのJリーグで導入されている「みなし開催」規定のもとで中止となり、帰責性のあるチームが0-3で敗戦となる。一人の感染がチーム全体に、それぞれの家族に、最悪の場合はホームタウン全体にさまざまな影響を与えるおそれがあるからこそ、各クラブは厳格な行動規範を定め、クラブに関わる全員に遵守を求めている。