「草ぼうぼうの太陽光パネル」各地に出現の危うさ…太陽光発電設備の周辺の下草に引火した事例も
■放置状態にある太陽光パネルは「廃棄物」? 環境、経産両省は、放置対策に関連し、空家等対策特別措置法の概要を有識者会議の参考資料に載せている。特別措置法は2015年5月に施行され、2023年12月に改正法が施行された。これにより、適切な管理が行われていない空き家に対して市区町村が指導、勧告を行えるようになった。さらに、倒壊の恐れがある、あるいは衛生上周囲に害を及ぼす空き家の場合は「特定空き家」に指定して取り壊すよう求める命令や代執行などの措置を定めた。
放置状態にある太陽光パネルなどの設備が「廃棄物」にあたるかどうかの判断は難しい。電気的な接続が切られていれば電気事業法に基づく電気工作物ではなくなるが、行政が設備の所有者に連絡をつけても、「売るつもりだ」と言われれば廃棄物には当たらず、所有者が自分の土地や借りた土地に置きっぱなしにしていても、問題にはできない。 そこで、廃棄物にあたらない場合でも、周辺環境に害を及ぼす可能性のある場合には、行政が動けるような制度が必要になる。
■リサイクル義務化制度づくりのスケジュール 環境省環境再生・資源循環局によると、太陽光パネルリサイクル義務化の新制度づくりは、年明けの2~3月に法案をまとめ、閣議決定を経て4~5月に国会審議というスケジュールで進んでいる。岡﨑雄太制度企画室長は「大きな課題は2つあります。コストをだれに負担してもらうのかということと、放置、不法投棄対策をどう制度に落とし込めるかということです」と話した。 メガソーラーなどが買い取り期間終了と同時に事業をやめれば、まとまった量の太陽光パネルが排出される。まだ約10年以上先の話だが、大規模な発電所からいっぺんに大量排出されないよう、パネルが使える間は使い続けられるようにする方策も議論されている。
なかでも、一般社団法人再生可能エネルギー長期安定電源推進協会は放置案件をめぐり、所有者に事業を続ける意思がない場合、行政が関与したうえで適正な事業者に譲渡してもらい、発電事業を続けるなどの方策を提案し、注目されている。
河野 博子 :ジャーナリスト