「草ぼうぼうの太陽光パネル」各地に出現の危うさ…太陽光発電設備の周辺の下草に引火した事例も
その中で取り上げたのが、2024年4月15日、仙台市の「西仙台ゴルフ場メガソーラー発電所」で発生し、草地約4万㎡を焼いて約22時間後に鎮火した火災。発電所敷地外への被害はなく、けが人はいなかった。電力安全課が設置者などの説明をもとに明らかにした延焼メカニズムは以下の通りだ。 1. 太陽光パネルにより発電した電気を直流から交流に変換する「パワーコンディショナー(パワコン)」の内部の部品が故障(原因は不明)。
2. パワコン内部の温度が上がり、圧力が高まってパワコンの前面カバーが落下。 3. 燃えた部品が飛散し、周囲の下草などに引火。 4. 当日は最大瞬間風速10.1メートル/秒の風が吹いており、数日間の晴天続きで下草が乾燥していたことから、発電所内に延焼した。 火災事故の詳細がわかったことを踏まえ、電力安全課は設備周辺の下草についてより具体的に対策を示す必要があると説明した。現行の電気事業法の技術基準では、「人体に危害を及ぼし、物件に損傷を与える恐れのある施設等の防止」がうたわれているものの、直接的で有効な措置が示されているわけではないからという。
一方、一般社団法人太陽光発電協会(会員は太陽光パネルのメーカー、発電事業者を含め太陽光発電に関する幅広い分野の155社・団体)は「太陽光発電システム保守点検ガイドライン」を作成。西仙台ゴルフ場メガソーラー発電所火災の直後には、保守点検の実施、草刈りなどの対策を促す注意喚起を出した。その中で、「最近、地上設置の太陽電池発電設備では、草刈りが必要十分に行われていない例も見受けられる」と警告している。
草木に覆われたまま放置されている個人所有の太陽光発電設備の問題について、太陽光発電協会の亀田正明技術部長は「空き家問題と一緒です」と述べ、続けた。「現在は、放置された太陽光発電所はそんなにはないと思いますけど、放置状態、手入れしていないものはあるかもしれませんね。われわれはホームページで手入れに必要なチェックリストを示して、ちゃんと手入れしましょう、こういうのは問題ありますよ、と紹介しています」。