はせがわゆうじ 20万部突破の『もうじきたべられるぼく』を描いた理由。「あたりまえを疑うことで物語は生まれた」
「号泣注意」のキャッチコピーともに、読み聞かせ動画がTikTokで300万回再生されて話題となった物語『もうじきたべられるぼく』。動画だけで拡散されていた物語が、10年の月日を経て、絵本『もうじきたべられるぼく』として刊行され、版を重ねて話題になっています。絵本『もうじきたべられるぼく』が生まれるきっかけとなったのは、当たり前を疑うことだったそうで……。人生観がつまったイラストエッセイ「なんだもんぱんだもん」です。 【イラスト】羊、山羊、そして… * * * * * * * ◆あたりまえを疑ってみる 絵本「もうじきたべられるぼく」が思いがけず大勢の人に 話題にしていただいています。 この本はずいぶん前の作品で、当時世の中の不条理なことについて いろいろ考えていた時に出来たものでした。 日々あたりまえと思っていることが、果たしてほんとにそうなのか? そう考えるきっかけになったのは、アインシュタイン博士の伝記を読んだ時でした。 アインシュタイン博士は子供のころ、遠ざかるにつれて短く見える電柱を見て なぜだろう?と考えたそうです。 そんなこと普通考えますか!? あたりまえでしょう~!で済んじゃう話なのに… それから物理に興味を持ったんだそうです。
◆動物の運命の違いを絵本に 自分も考えてみました。 知らず知らずのうちにこの日本という社会に必然的に育ち 当然のように常識を受け入れ あたりまえのように暮らして来たけれど… なんかおかしなことしちゃってないかな~って。 そんな時、牛がいっぱい運ばれていくトラックを見かけたのです。 檻の隙間から鼻先がいくつも出ていました。 その向こう側にはおしゃれに着飾った人々が楽しそうにしていて… そして思いました。 動物園の動物と家畜の動物のあまりにもの運命の違い。 最初はリアルな絵で現実的なストーリーを考えたり いやいやこれじゃあ辛くて絵本には無理だろうと 「わてらもうちょっとよくしてもらってもええんちゃいますか~?」 って牛さんや豚さんが叫ぶギャグ漫画的なものを考えたり…で 最終的に今の形に落ち着きました。 こんなに時間を経た後に、こんなにみなさんに見ていただけることになって ひたすら嬉し恥ずかしです。
はせがわゆうじ