箱根駅伝 63年ぶりのシード権獲得に挑んだ立教大・安藤圭佑主将が明かす苦闘の1年
【髙林監督の就任以降、練習に集中できるように】 第101回箱根駅伝の復路終了後――。 「髙林(祐介)監督が、『安藤がいてこそのチームだった。精神的にも戦略的にも支柱になっていて、なくてはならない選手だった。すごくありがたかった』と言っていました」 そう伝えると、立教大の安藤圭佑主将(4年)は涙がこぼれそうになるのを必死にこらえながら、こう言った。 「そう言っていただけるとすごくうれしいです......。本当に髙林監督には......苦しい時期に就任していただいて、ここまで成長させていただいたことがうれしくて、何か恩返しできればと思って、今回、シード権を獲りたかったんですけど......獲れなくてすいませんという気持ちでいっぱいです」 今シーズンの立教大は、箱根駅伝のシード権獲得を最大の目標に掲げてきた。その先頭に立ったのが安藤だった。昨年の箱根後にキャプテンになった安藤は、当初は指導者不在のなか日々の練習メニューを考え、全体練習を見守るなど、自分の走りに集中できなかった。その影響もあり、「なかなか調子が上がらない」と悩んだ時期もあった。 だが、4月に髙林監督が就任すると、「自分のことに集中してほしい」と言われ、ようやく集中して練習に取り組めるようになった。夏合宿では常に前を走り、チームメイトを鼓舞しながら、練習を消化していった。そして、箱根予選会で立教大は見事にトップ通過。安藤はチーム4位、全体43位。主将としても一選手としても、責任を果たした。その2週間後、初出場の全日本大学駅伝は、安藤がアンカーとして7位でゴールし、シード権を獲得した。 箱根前、安藤は胸を張ってこう言っていた。 「今年は全日本、箱根予選会としっかり走れているので、最後の箱根もしっかり走って、後輩たちにシード権を残していけたらと思っています。そのためには、自分を含めた4年生がしっかりと走ることが重要だと考えています」 今回の箱根駅伝で、髙林監督がシード権獲得の最大のキーポイントに挙げていたのが4年生の走りだった。往路の3区に稲塚大祐、4区に林虎大朗、5区に山本羅生を置き、復路の8区に山口史朗、9区に安藤を置いた。 果たして往路では、2区の馬場賢人(3年)が快走を見せ、稲塚と林がつなぎ、山上りの山本が渾身の走りで12位から8位まで順位を押し上げ、シード圏内でゴールした。安藤は、彼らの走りを寮のテレビで見ていた。 「往路は、本当にみんなすばらしい走りをしていましたし、絶対にシード権を獲るんだという気持ちを感じるレースでした。そういう姿を見て、モチベーションがすごく上がりましたし、復路を走る選手ばかりでなく、チーム全員が(あらためて)シード権を獲得するんだという強い気持ちを持てたと思います」