箱根駅伝 63年ぶりのシード権獲得に挑んだ立教大・安藤圭佑主将が明かす苦闘の1年
【シード権獲得のために足りなかったもの】 往路を終えた髙林監督は、レース後、「復路も4年生がキーになる」と語り、とりわけ安藤の名前を挙げて期待した。安藤が待つ9区までシード権争いをしていれば、キャプテンが決めてくれると考えていたのだろう。 しかし、そこまで耐えることができなかった。7区で13位まで順位を落とすと、そこから前との差を詰められなかった。安藤にタスキが渡った時点で、9位、10位争いをしていた日体大、東洋大とは1分3秒の差があった。9区に入ってからも、シードを争うライバル校たちは集団となって競り合う中でペースを上げていった。 「前との距離が少しあったんですが、2年前に先輩の中山(凜斗)さんが出した1時間09分44秒を抜けるかどうかを目安にしていました」 安藤は12月の合宿で余裕を持って練習メニューをこなすなど、良い状態で箱根を迎えていた。この日も、走り始めの時点では調子の良さを感じたという。だが、前との差をなかなか縮められずに区間11位(1時間10分06秒)。チームも13位のまま、10位との差は1分31秒に開いていた。 「シード圏内にギリギリ食い込めるかなという重要な位置でタスキをもらったのにもかかわらず、戦えなかったです。せめて、あと20、30秒速く走れていれば、次につながったと思うんですけど......、自分の力のなさを感じました。自分が勝負できなかったことが、こういう結果になってしまったと思っています」 安藤は、OBの中山の記録にも及ばず、苦しい走りで終わった。立教大は復路12位、総合13位となり、目標に掲げていたシード権獲得は達成できなかった。安藤は何が足りないと感じたのだろう。 「やっぱりシードを争う(展開になってからの)他校の本気度というか、走りが全然違う。しっかり粘りきる強さ、たたき合いでの強さがうちにはまだ足りないかなと思いました。ただ、昨年の総合14位からひとつ順位を上げていますし、目標としていた総合タイムは設定とほぼ同じだったんです。そういうところを見ると力はついてきていると思うんですけど、競り合いのところ(の強さ)ですね」 これから力を入れていくべき点がほかにもあると安藤は言う。 「全体の選手層を厚くするのはもちろん、あらためてピーキングも重要だと思いました。そこを完璧にするといいますか、もう一段、二段レベルを上げていくと、もっと戦えるんじゃないかなと思います」 現状、立教大は髙林監督がひとりで多くの仕事をこなしている。これから上位を目指すには、監督のサポート体制を整え、専門スタッフを入れるなど、走力だけではない部分にもフォーカスして全体の力を押し上げていくことが欠かせない。実際、上位の大学は、そういう体制で戦っている。もはや箱根は監督ひとりの力でどうにかできるレベルの大会ではない。そのことを安藤は理解しているようだ。