【阪神JF】外国調教馬として初参戦の米国馬が2歳女王に名乗り「とてもうまく調整できた」追い切りで大物の風格
◆阪神JF追い切り(2日・京都競馬場) 2歳女王決定戦、第76回阪神JF・G1(8日、京都)に外国調教馬として初めて参戦する米国のメイデイレディが2日、京都競馬場のダートコースで追い切りを消化。米G1・2着後の輸送も無事にクリアし、ジョセフ・リー調教師(62)は「とてもうまく調整できた」と胸を張った。 落ち着きある走りのなかに、力強さが際立った。メイデイレディは京都競馬場のダートコースを単走。まず右回りで感触を確かめるように4角過ぎまでダクを踏み、左回りに切り替えてキャンターに下ろした。小気味いいリズムを刻みながら進み、向こう正面の残り1000メートル標識から徐々に加速。流れるようにスピードに乗っていく姿には、大物の風格が漂った。 行きたがることはなく折り合いはピタリ。3角手前から鞍上が強めに追い出すと、さらにギアを上げた。軽快かつ力強いフットワークで、4角の400メートル標識までの1000メートルは5ハロン65秒1―12秒6をマークした。 リー調教師は「自分が一番安心できる方法を」と米国と同じ左回りダートで追い切った理由を説明した。先月20日に来日し、千葉・白井市の競馬学校での着地検疫を経て同26日に京都入り。以降もスタイルを崩さず乗り込みを進め「とてもうまく調整できた」とトレーナーは胸を張った。 8月のデビューから未勝利戦、リステッド、G2と3連勝。前走のBCジュベナイルフィリーズターフ・G1でも2着と実績はメンバー最上位だ。参戦を決めたのは、ニューヨークに滞在するJRA職員の熱心な勧誘があったからだという。「よく厩舎にも来てくれていて、2年前くらいからずっと誘いがあって。今回ちょうどいい馬に巡り合えた。自分自身もこちらに来たいと強く思っていた」とリー師。過去3戦で輸送を経験しており「この馬は輸送が簡単。デルマーの時の飛行機の中でも常に落ち着いて体重も減らなかった。これなら」と2歳での海外遠征は支障なしと判断された。 鞍上は5年ぶりに日本で騎乗するデットーリ。全4戦でコンビを組み、手の内に入れている世界的名手の手綱で米国調教馬としてレース史上初&21年ぶりのJRA・G1勝利をつかむ。(山本 理貴) 【リー調教師「とても楽しみ」】リー調教師は、ゴドルフィンでアシスタントを務めていた94年に来日。京王杯SCでスキーパラダイスの2着に入ったザイーテン、翌95年の安田記念を制したハートレイクなどの遠征にスタッフとして帯同した。その際に元JRA騎手、元調教師の加賀武見氏の娘・鈴代さんと出会い結婚。ゴドルフィン退職後は義父の厩舎で働き、11年まで日本に滞在した。 「当時(94~95年)よりも日本の馬のクオリティーが上がってきていると感じます。とても楽しみです」とリー師はレースを心待ちにする。当日は加賀氏も競馬場に駆けつける予定。日本にゆかりの深いトレーナーが、妻と義父の母国で歴史的勝利を目指す。
報知新聞社