南果歩「読み聞かせは大人にも必要」東日本大震災の被災地でボランティア活動を行う理由 #知り続ける
「明日は私たちが被災するかもしれない」被災者の経験から学ぶことはたくさんある
――震災を風化させないために、被災地から離れた地で暮らす人たちはどういった思いを持つべきだと思いますか。 西前律子: 10年以上が経ち、街もきれいになりましたが、「もう大丈夫」とは思わないでほしいです。何十年経っても精神的なトラウマの影響はありますし、何年経ったからもういいだろうという話ではないことを痛感しています。やはりなるべく多くの方が今後もしっかり見守り続けて、交流を通して被災者の方々が少しでも元気をもらえることがとても大事だと思っています。 私たちは、命がけで本当に大変な思いをして、それを乗り越えた被災者の方から学ぶことがたくさんあると思うんです。彼らのたくましさ、海でのたくましさ、山でのたくましさ、男女分業で支え合うといった動きと彼らの底力を現地で見てきました。東京でもし震災があったら南三陸どころの被害ではない。でも、東京であのような動きができるだろうかと思ったとき、彼らの経験したことから学ぶことは実はたくさんあるはずなんです。日本に住んでいればいつどこで被災者になるか分かりません。私たちも覚悟して生きることが大事なのではないでしょうか。 ----- 南果歩 1964年、兵庫県生まれ。女優。1984年映画「伽倻子のために」のヒロイン役オーディションに合格し、デビュー。以降、数々のドラマ・映画に出演する。また、ボランティアで絵本の読み聞かせを続け、東日本大震災や熊本地震の被災地でも活動する。2022年には自身初の絵本「一生ぶんの だっこ」(講談社)を出版した。 西前律子 臨床心理士。アメリカで大学院修士号を取得。2005年東京MFTセンターを開業。専門は家族療法とトラウマ治療。国境なき医師団のメンバーとして、東日本大震災10日後に現地入りし、南三陸町を中心に10カ所の避難所で心理アセスメントを行った。ボランティアとして現在も被災者の心理支援を続ける。 文:姫野桂 (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました)