「がんだから安静に」は大きな誤解! 「動かない」「食べない」「飲まない」は要注意
がんに罹患する方の半数近くを75歳以上の方が占めています。75歳というのは、日常生活に制限がなく過ごすことのできる期間、健康寿命とされる年齢です。 自宅で介護、または施設に入居…75歳からのがん患者の生活をいかにして支えるか 個人差がありますので一律にとは言えませんが、おおよそ75歳を超えると、がんへの対応は、治療の効果と心身への負担のバランスを取りながら考えていくことが大事になります。 高齢の方ががん治療を選ぶ際に知っていただくと役立つ情報をまとめた一冊『75歳からのがん治療 「決める」ために知っておきたいこと』より、役立つ章をピックアップしてお届けします。
生活のリズムを整えながら体調管理に努めます
がんの治療後、あるいは治療中でも、心身の苦痛がなければ今までと同じように生活を楽しむことはできます。そのためには体調を管理し、生活のリズムを整えることが大切です。 生活のリズムは、食事・睡眠・排泄のリズミカルなくり返しによって整っていきます。体調が悪いと生活のリズムは乱れやすくなります。体調管理に努めたうえで、今までしてきたことを続けたり、好きなことを始めたりしながら過ごすことが、生活の質(QOL)の維持・向上につながるのです。
生活リズムをつくる鍵
がんの状態や、がんの治療の影響、あるいは認知機能の低下などが影響し、食事・睡眠・排泄のリズムが乱れていくことも少なくありません。 ■睡眠 痛みなどの症状が安眠を妨げることもあります。原因への対応とともに、倦怠感があっても昼間はできるだけ体を動かすようにします。 ■食事 がんの治療中は食事に関する問題が起こりがち。食べない、食べられない原因に応じた対応が必要です。 ■排泄 がんの治療の影響で、便秘や下痢が起こりやすくなることもあります。放置せず、医療者に対応をお願いします。
「がんだから安静に」は大きな誤解
年齢が高くなるにつれ、活動量は低下しがちです。動かないうちに筋力が落ちて少し動くと疲れがひどく、ますます動かなくなるという悪循環が起こりやすくなります。その結果、心身の衰えが進みやすくなります。 がんの治療は、悪循環が始まるきっかけになりがちです。しばらく入院したあとなど、家の中の階段を歩いてのぼれなくなるほど筋力が衰えることもあります。「がんだから安静に」と誤解している人も多いのですが、体力を維持するには、日々「動くこと」が大切です。