共産党が「除名」「除籍」を乱発して元党員が怒りの提訴…元幹部は「党内のリーダーシップに問題があることは明らか」と指摘
「自己批判」の強要
神谷氏はサンデー毎日の取材を受け、次のように経緯を説明した(註)。神谷氏は「松竹氏の処分を見直せ」という意見を共産党の福岡県委員会総会で表明したが、これを県委員会は否決した。 神谷氏は自身のブログで否決に至る経緯を説明し、「自分の意見は否決されたが、党の決定には従う」と投稿した。ところが共産党はブログの執筆が「党内での自由な発言、討論を保障した党規約の精神を踏みにじる行為」と一方的に決めつけ、今年8月に除籍を発表したのだ。 「共産党の説明に納得できる人は皆無ではないでしょうか。党内で自由な発言が許されているのなら、ブログの投稿が問題視されるはずがありません。むしろ4人のベテラン党員に除名や除籍を乱発するという異常事態から、党内では自由な発言が許されていないことが改めて浮き彫りになったのです」(同・記者) 除籍に至るプロセスも極めて異常だったと神谷氏は証言している。共産党は5人や11人という多数で1人の神谷氏を査問し、「謝れ!」などと詰問。「自己批判」や「ブログ削除」を強要した。神谷氏が党をパワハラで提訴した原因だ。
共産党の退潮は明白
ちなみに松竹氏も共産党を提訴している。元参議院議員で共産党のナンバー4にあたる政策委員長を務め、2005年に離党した筆坂秀世氏は「共産党内では神谷さんの除籍を撤回してほしいという意見表明が相次いでいるそうです」と言う。 「私は神谷さんに会ったことはありませんが、人望が厚い人だと聞いています。福岡県の党員は『神谷さんの除籍は納得できない』と大騒ぎしているそうです。松竹さんから始まって神谷さんまで、共産党は4人を除名・除籍しました。いずれも現場で地道な党活動を積み重ね、党員から信頼されてきたという共通点があります。それを納得できる理由がないにもかかわらず、党から一方的に追い出したわけです。とてもではありませんが、今の共産党はガバナンスが崩壊していると言わざるを得ません。公党にあるまじき人事権の濫用であるのは明らかです」 さらに筆坂氏は、松竹氏や神谷氏が一歩も退かずに撤回を求め、堂々と党を提訴したことに注目する。 「かつて共産党が勢力を維持していた時代に除籍や除名の処分が下ると、元党員は萎縮したものです。もちろん暴力を振るわれるなどということはありませんでしたが、それでも何となく脅威を感じ、身辺に不安を感じることが珍しくなかった。松竹さんや神谷氏が撤回を求めて訴訟を起こしたのは、もちろん2人に対する処分に問題があるからですが、共産党が落ち目になっているという点も指摘できると思います」(同・筆坂氏)