日本新三大夜景都市の絶景と夜グルメを楽しむ夏の大人旅
北海道札幌市
札幌市は全国の夜景観光士が選ぶ「日本新三大夜景」に認定されている日本屈指の夜景都市だ。中心部から気軽に足を運べる展望スポットがたくさんある点が支持される理由の一つという。札幌の夜はグルメも目白押し。夜景をはしごしながら夜更かしを楽しむ旅も面白そうだ。 札幌出身の友人に勧められた「幌見(ほろみ)峠」は暗くなる前に行くのが良いという。市街地からタクシーで20分ほど走り、現地に着くとその理由がわかった。緩やかな丘陵を一面のラベンダー畑が紫色に染め上げ、その向こうに星屑のような街明かりがきらめいている。初夏の札幌、しかも花がよく見える薄暮の時間帯しか見られない絶景だ。
さらにタクシーで10分ほど走って「藻岩山(もいわやま)」へ。標高531メートルの山頂にある展望台は、札幌の街を360度見渡す市内随一のビュースポットだ。山麓駅からロープウェイとミニケーブルカーを乗り継いで山頂に到着すると、ひんやり爽やかな風と、声を失うほどの夜景が待っていた。 刻々と色を変えていくマジックアワーの空の下、宝石箱をひっくり返したような光が石狩平野の大パノラマを埋め尽くしている。これぞ200万都市・札幌の夜。山頂のレストラン「THE JEWELS(ザ ジュエルズ)」で窓越しの美しい夜景とともに創作フレンチを味わい、夢のような時間を過ごした。
路面電車で中心部へ戻ると、21時半過ぎ。「さっぽろテレビ塔」展望台の最終入場にすべり込んだ。地上約90メートルの眼下に大通公園がまっすぐ延び、その先に大倉山のスキージャンプ台も見える。居合わせた地元の方から「大倉山展望台からの夜景も素晴らしい」と教えてもらい、次回はぜひ訪れてみようと決めた。 ディナー後でもスイーツは別腹。札幌発祥の夜グルメ、シメラーメンならぬ「シメパフェ」を目当てに「パフェ、珈琲、酒、佐藤」を訪れた。自家製アイスクリームやフルーツが盛り付けられたパフェはアートのように美しく、味はもちろん写真映えも大満足。勧められたニッカブランデーとの相性も抜群だった。 カラッと涼しい札幌の夏の夜。あとはホテルで寝るだけなんてつまらない。ススキノを見下ろす屋上観覧車「nORIA(ノリア)」にも乗ってみたいし、定番のラーメン横丁にも行ってみたい。深夜0時。夜景旅のラストを飾るのは、ネオン輝くススキノだ! 文/佐々木美和 ※「旅行読売」2024年8月号の特集「体感-5℃ 日本の涼景」より