異例の甲子園大声援を受けた阪神・藤浪の“復活怪投“は2軍落ち決定も仕方のないものだったのか?
阪神の藤浪晋太郎(25)が1日、甲子園で行われた中日戦で、昨年10月6日の横浜DeNA戦以来、299日ぶりとなる先発マウンドに立った。5回に1点を失い、この日、8四死球目となる四球を与え一死一、二塁となった場面で降板したが、満場の甲子園のファンは温かい拍手。粘ってゲームは作ったが、相変わらずコントロールの定まらぬ“怪投”に試合後、矢野監督は2軍落ちを明言した。102球、4安打1失点、3奪三振の内容をどう評価すればいいのか。この2年間、低迷している藤浪に完全復活の日はやってくるのだろうか?
カット、スライダー中心の内容
甲子園は優しかった。 その立ちあがりに先頭の平田を歩かせ、一死二塁からアルモンテを追い込んで内角に155キロのストレートをズバッ。髭の強打者を見逃しの三振に打ち取ると大きな拍手と歓声が沸く。だが、ビシエド、阿部に連続四球で満塁とピンチが広がる。藤浪の自滅パターン。悪夢が蘇ったが、場内は、後押しする異例とも言える大声援に包まれた。 堂上を外のスライダーでスイングアウト。グラブをポンポンと叩いて藤浪が満面の笑顔でベンチに戻ると、ファンはスタンディングオベーションで称えた。スタメンを外れた福留もベンチの前に出て拍手で藤浪を出迎えた。みんなが藤浪の復帰を待っていたのである。 だが、初回だけで38球を要した藤浪の“怪投”が続く。 2回は先頭の京田を歩かせると、続く木下の初球に146キロのストレートがスッポ抜けた。左手の二の腕を直撃。木下は腕を抱えて悶絶。場内は騒然となった。だが、無死一、二塁で、ロメロが、藤浪の投球に恐怖心を抱き、バッターボックスの遠くで構え、しかも腰が引けてバントができない。空振り、ファウル、そしてスライダーに空振り。藤浪は続く平田を内野フライに打ち取ると、大島の二塁へのゴロが走者に当たり、記録はヒット、守備妨害という珍しい形でまたピンチを脱した。 3回にはベンチのファインプレーに助けられた。一死一塁から阿部のセンター後方への大きなフライでアルモンテが二塁へタッチアップしていたが、この離塁が早かったとアピール。それが認められ併殺となったのである。 しかし“怪投”は終わらない。4回には一死一塁からまた木下にぶつけた。今度はスライダーがスッポ抜けて、避ける左肘を直撃したのだ。虎党から溜息が漏れる。「またかよ」とばかりに苦笑いを浮かべ打席に入ったロメロに今度はバントを決められたが、得点圏に走者を背負いながらも大阪桐蔭の先輩、平田を135キロのスライダーでセカンドフライに。 粘っていた藤浪は責任イニングとなる5回に先に失点した。先頭の大島を歩かせ、アルモンテの初球にエンドランを決められた。四球の後の初球はストライクを取るカウントだが、荒れる藤浪に対して、まさかの作戦。無死一、三塁からビシエドにレフトへの犠飛を許し0-0の均衡が破れた。さらに阿部に粘られ、8四死球目となる四球を与えた場面で、矢野監督は迷うことなく交代を告げた。 藤浪はグラブで頭をコンコンと叩き舌を出した。守屋にバントを渡すと、藤浪は小走りでマウンドを降りる。虎党は8四死球で1失点と結果的に踏ん張った藤浪にヤジではなく温かい拍手を捧げた。