「悩んだら一度手放してみるのもアリ」“キャプ翼”に救われた中村憲剛が語る挫折と再燃
辛かったら1回休むのもアリ。それから戻っても十分間に合う
――何かをやめたい、向いていないかもしれないと悩んでいる子どもたちに、どう声をかけてあげたいですか。 中村憲剛: 「悩んだら一度手放してみるのもアリだよ」って伝えたいですね。周りに言われて無理に続けて苦しんで、もう二度と戻れないところまでいくくらいなら、自分で一度断ち切っていい。一つの道をずっと進まなければならないというルールはありません。だから「一度そこから降りて休む時間もあるよ」と言ってあげたいですね。僕が中学1年生のときにサッカーをやめて、その間に熱が再燃したように、本当に好きだったら絶対戻ってくると思います。 一度離れる時間を作ってから戻ったとしても、小中学生という育成年代なら十分間に合うことは僕自身が証明していますから。もし他に新しく好きなものが見つかったら、それに取り組むのもいいと思います。僕も心が壊れかけた経験があるので、「絶対に頑張れ」とは言えません。 それに、少し立ち止まったとしても、無駄なことなんてないんだと今は思います。僕は小さい頃からサッカーをやってきて40歳まで現役を続けましたが、無駄だと思われるような時間があったからこそ最後までやることができたんです。寄り道も、実は後々すごくプラスになる。そう思えるような心を作ることは、すごく大事なのではないでしょうか。 ----- 中村憲剛 1980年、東京都生まれ。元プロサッカー選手。中央大学卒業後、2003年川崎フロンターレに加入。以降18年間の現役生活を全て同チームでプレーした。Jリーグ通算546試合出場83得点を記録。司令塔として3度のJ1優勝に貢献。日本代表として68試合出場6得点。2010年、南アフリカW杯出場。2020年に現役を引退後、現在は川崎フロンターレ・リレーションズ・オーガナイザー(FRO)を務め、JFAロールモデルコーチ、解説業など多分野で活躍中。 文:都田ミツコ (この動画記事は、TBSラジオ「荻上チキ・Session」とYahoo! JAPANが共同で制作しました)