今治のJ3自力昇格消滅…どうなる?岡ちゃんの夢
澄みわたった敵地・滋賀の青空に、7試合ぶりとなる黒星を告げる主審のホイッスルが鳴り響く。破竹の連勝を6で止められ、ピッチ上で呆然とするFC今治の選手たちをさらなるショックが襲った。 同時間帯に戦っていたソニー仙台FCがテゲバジャーロ宮崎に2―0で快勝。キックオフ前の順位が逆転し、今治は仙台に抜かれて5位に後退した。最終節を残して、自力でJ3へ昇格する可能性が消滅した。 日本代表監督として2度のワールドカップを戦った、岡田武史氏(62)が代表取締役会長兼オーナーを務める今治にとって、またとない舞台が整っていた。 11日の日本フットボールリーグ(JFL)セカンドステージ第14節でMIOびわこ滋賀を下し、仙台が引き分け以下ならば年間総合順位で4位以内が確定する。 JFLからJ3へ昇格を果たすには、まずはJリーグから百年構想クラブとして認定されなければならない。運営法人の経営体制や常時練習が可能な環境の確保、普及活動の継続的な実施などをクリアした今治は2016年2月に認定。昨シーズンには戦いの場を、四国リーグからJFLへステップアップさせていた。 そのうえで、財務面で年間事業収入が1億5000万円以上であること、観客動員面でホームにおける1試合の平均観客数が2000人を超え、3000人に到達する努力が認められなければならない。そして、成績面ではJFLの4位以内で、なおかつ百年構想クラブのうち上位2位に入って初めて承認される。 今治は昨年9月に、J3のクラブライセンスが交付されている。岡田氏のネームバリューと、コンビを組む東京大学卒で世界最大級の投資銀行、ゴールドマン・サックス証券株式会社で10年間らつ腕を振るった愛媛県出身の矢野将文代表取締役社長(42)の舵取りで、課されたハードルを軽々とクリアしている。 観客動員面では、収容人員約5000人の「ありがとうサービス.夢スタジアム」が昨年9月に開場。ともに上位を狙う百年構想クラブ、東京武蔵野シティFCとの直接対決となった今月4日の前節には、4704人ものファンやサポーターが来場した。平均2000人超というハードルも、もはやまったく苦にならない。 そして、残された唯一にして最大の課題が成績面となる。初めてJFLに挑んだ昨シーズンはファースト、セカンド両ステージとも上位争いに絡めず、年間総合順位で6位に終わってJ3昇格を逃した。今シーズンもなかなか状態が上向かず、ファーストステージは7位に低迷した。