今治のJ3自力昇格消滅…どうなる?岡ちゃんの夢
勝てばJリーグのプレッシャー
ファーストステージ終了間際には、四国リーグを戦った2016年から指揮を執ってきた元U―17日本代表監督、吉武博文氏(58)が突如退任する。事実上の解任となる荒療治を施し、後任を地元愛媛県西条市出身で、今治のU―15監督をへて吉武前監督を支えていた工藤直人コーチ(36)に託した。 トップチームを指揮した経験のない青年監督のもとで体勢を立て直した今治は、仙台に3―0で快勝した9月16日のセカンドステージ第8節から6連勝をスタートさせる。この間に奪ったゴールが27を数えれば、失点は5と攻守のバランスも最高のハーモニーを奏でつつあった。 「決して相手をなめてかかったわけではないんですけど、いままでのチームの流れや勢いだったら、間違いなく勝てた試合だった」 滋賀のホーム最終戦セレモニーが行われていた、甲賀市陸上競技場の片隅で取材に応じた今治のキャプテン、MF上村岬が悔しそうに黒星を振り返る。筑波大学からジュビロ磐田をへて、2016シーズンから今治へ新天地を求めた27歳は、90分間を通してピッチ上で違和感を覚えていたという。 「勝ったら(J3が)見えてくる、というプレッシャーというものを、どこかで選手たちが感じていたのかもしれないし、この試合以外のところにも気持ちが行っちゃっていたのかもしれない。そうしたものの現れが今日のような試合内容と結果になった、という要因があるかもしれない」 今治の選手たちにとって、勝てば最初の目標であるJリーグへの扉が開く可能性のある大一番は初体験だった。メンタルがやや乱れたがゆえに、目の前の相手になかなか集中できなかったのか。前半35分にセットプレーから先制され、チーム全体が前がかりになった後半27分にはカウンターから失点を重ねた。 敵地まで駆けつけた老若男女の声援を受けながら、同39分に1点を返すのが精いっぱいだった展開に、上村は「いままでできていた、チームのために、というプレーが少なかった」と反省した。だが、残り1試合。気持ちを切り替え前を向く。 「味方がボールを取られたらイライラして文句を言うとか、攻守をすぐに切り替えないとか、ボールを取られた選手も相手を一生懸命追わないとか。小さなことですけど、それらができなければこういう試合になる。決して自分たちの技術が劣っているとは思わないので、あと1試合、小さなところを大事にして戦いたい」