今治のJ3自力昇格消滅…どうなる?岡ちゃんの夢
岡ちゃんの挑戦
1976年に大西サッカークラブとして創設された歴史をもつ今治を運営する「株式会社今治.夢スポーツ」の株式を、岡田氏が51%取得したのは2014年11月。長く抱いてきた「日本のサッカーは現状のままでいいのか」という疑問に対する答えが、岡田氏を現場から経営へ、中央から地方へと動かした。 日本のサッカーとはこういうものだという型を、日本サッカー協会や日本代表ではなく、クラブが作り出す時代が訪れている――こう結論づけた岡田氏は既存のJ1やJ2のクラブではなく、規模が小さいがゆえに一から挑戦できるとして、早稲田大学時代の先輩を介して紹介された今治を選んだ。 命名された「岡田メソッド」はトップチームから育成までの全カテゴリーが、ボールを大事にする攻撃的なポゼッションサッカーというコンセプトを共有。2025年にはJ1で常時優勝争いするチームとなり、ACL制覇も狙い、日本代表に5人を送り込む、という壮大なビジョンを掲げている。 地域リーグからJFLまでは歩を進めたが、昨シーズンに続いてJへの扉が大きな関門として立ちふさがる。ホームにホンダロックSCを迎える18日の最終節で勝っても、仙台がFCマルヤス岡崎に勝った時点で今シーズンも夢が潰え、ビジョンの具現化も足踏みを余儀なくされる。 「勝たなければ可能性もなくなってしまう。きっと神様は見てくれていると思うのでホームで必ず勝って、あとは信じるだけです」 自らに言い聞かせるように、上村が力を込めた。自分がアウェイへ足を運ぶと負ける、というジンクスもあって、滋賀に姿を見せなかった岡田氏も見守るなかで、人事を尽くして天命を待つ運命の大一番は「ありがとうサービス.夢スタジアム」を含めた全8会場で午後1時に、いっせいにキックオフを迎える。 (文責・藤江直人/スポーツライター)