92歳の女性評論家が「80歳で調理定年」を勧める訳 「総菜、外食、人に頼る」の工夫3つで快適な食を
人生100年時代がやってきました。長い老後をどのように過ごせばいいのでしょう。 最期まで前向きに生きるためには「老いゆく自分を客観的にみつめ、受け入れること」「視野を広げて自分の置かれている状況、社会的な状況を知ること」この2つが大切だという、評論家の樋口恵子さん。現在92歳の樋口さんが、日々感じていることや実践していることを『老いてもヒグチ。転ばぬ先の幸せのヒント』から3回に渡ってご紹介します。 第2回は「おろそかになりがちな『食』への工夫」のご提案です。
■体力の限界を感じたら、調理はやめる 結婚以来、毎日料理を作り続け、夫が定年退職しても、「飯はまだか」といわれる生活を続けてきたという妻の嘆きをよく耳にします。 夫は定年後、妻が作った料理をおいしく食べる生活を10年以上続け、しっかり健康を保っています。けれども食事作りに定年はなく、妻は疲れ果てています。 完成した食事が目の前に出てくるのが当たり前だと思っている夫のなんと多いことか。そんな状態を改善したいと思いませんか?
妻は自分の体力の限界を感じたら、きっぱり調理をやめること。これが、「80歳調理定年」のすすめです。会社勤めの男性に定年退職があるのなら、家族の食を担ってきた女性には調理定年があってもいいのではないでしょうか。 食生活について、私はある時期までは、女性は心配ないと思っていました。自分で調理ができれば、健康で長生きできる可能性が高いからです。 ところが平均寿命が延びて、90代まで生きるとなると話は違います。
足はふらふら、膝や腰は痛い、腕は上がらない、頭は働かない。そんな状態では、調理など無理というものです。 高齢女性の多くは、家庭のなかで家事・育児を担ってきたので、料理がまったくできない人はあまりいないでしょう。 ■夫は1人の外食に抵抗がなく、問題ない 一方、現在50代から上の男性は、学校教育の場でも家庭科を学ぶ機会が少なく、成人してからも料理とは無縁で生きてきた人が少なくありません。勤め人であれば、仕事の合間に1人で分相応の店に入り、昼食をとるのが普通だったでしょう。