「離乳食」の”いたずら食べ”は、どう対応したらいい!? あかちゃんが手づかみで食べ散らかす、本当の理由
「子どもが離乳食をなかなか食べてくれない」「すぐに手で触ってぐちゃぐちゃにしてしまう」など、離乳食に困り果てている保護者も多いのではないでしょうか。この記事では、離乳食の進め方や対応について、障害児療育の専門家で保育園の理事長でもある山口平八さんの著書、『子どもは育つ 0歳から2歳児の発達と保育』から抜粋・編集してお贈りします。〈あかちゃんの食事の問題を考える〉全2回の記事の1回目です。 死刑に参加した刑務官が明かす…死刑囚が執行時に「アイマスク」を着用する衝撃の理由
「食べる意欲」という成長の芽を摘まないで
あかちゃんは10ヵ月を過ぎた頃から離乳食のとり方が変わってきます。それまでは保育者がスプーンに食べ物を入れて、「アーン」というと口を開いていたあかちゃんが、10ヵ月半頃になると自分でスプーンをとりにきて、食べようとし始めます。保育者があかちゃんの手を払い除けて食べさせようとすると、あかちゃんは口を閉じて抵抗します。パン切れなどは、自分で器からとって食べます。保育者が無理に口に入れると、一度口から出して、自分の手で入れ直すこともあるほどです。 これは、あかちゃんに「自分で……」という自我が生まれてきて、食事も自分でとろうとし始めた成長の証です。もちろん、スプーンはまだ自由に使えないし、手づかみで食べても胃の中に入るよりこぼす方が多いほどです。しかし、自我が生まれて、保育者の全面的な介助から自立しようとしているこの時期に、「こぼすからダメ」「汚すから、いけません」ということで、赤ちゃんがしようとしていることを制限して、大人がいつまでも介助するのは、発達にとって良いことではありません。いたずらをしているかのように見えるこの時期の手づかみでの食べ散らかしは、自立への一歩なのです。
意欲を育てる手づかみ食べで「自分で食べる」を実践してみよう!
10ヵ月半を過ぎ、食べ物を自分でつかんで食べようとするようになると、食事は徐々に自分で食べるようにしていきます。その際は、以下のようなことを大切にします。 1)手づかみ食べができるように食事の環境を整える 食事のときは床に新聞紙などを敷いて、あかちゃんがこぼしても大人が気にならないようにし、保育者もあかちゃんの前で一緒にご飯を食べるようにします。 2)敢えてスプーンも添えておく 乳児期後半のあかちゃんは主に手づかみで食べますが、お茶碗にはスプーンも添えておきます。スプーンはすぐに落としたり、投げたりしてしまいます。 落としたものは拾い上げてやる必要はありませんが、10ヵ月半を過ぎると手の延長上に道具を使う機能も芽吹き始めてきているのです。保育者が食べ物の入ったスプーンを差し出すと、9ヵ月児は食べ物に手を出します。しかし、10ヵ月半頃からは、スプーンの柄をとりにきて自分でスプーンを持って食べ物を口に入れます。スプーンで遊びながら食べたり、手づかみで食べたりしながら、あかちゃんは食べる力を広げていくのです。そして、1歳半頃には、スプーンも使えるようになってきます。