にしおかすみこ、認知症の母がなくしたダウン症の姉の「障害者手帳」を作りに行く
“障害者手帳は、身体障害者手帳、療育手帳、精神障害者保健福祉手帳の3種の手帳を総称した一般的な呼称です。 【写真】SM時代、ロングヘア、ショートヘア、マラソンに幼児期のにしおかすみこさん 制度の根拠となる法律等はそれぞれ異なりますが、いずれの手帳をお持ちの場合でも、障害者総合支援法の対象となり、様々な支援策が講じられています。” 厚生労働省のHPにはこのように書かれている。保険証をなくすと慌てふためくように、きちんとサポートを得るためには必須のものだ。 では、認知症の母親がダウン症の姉の障害者手帳をなくしてしまったら……? そんな状況に直面したのがにしおかすみこさん。2020年から認知症の母、ダウン症の姉、酔っ払いの父との同居をしている。当初預金通帳はじめ重要なものはすべてにしおかさんが管理しようとして「ドロボー!」と責められたこともあり、にしおかさんが管理しているものと、母親に任せているものがあった。2023年について綴っている連載「ポンコツ一家」37回前編では、台風のときに自転車を縛りつけ(その前ににしおかさんが縛ったロープを「いらない」と切ったけど)「ホントに認知症?」という活躍も見せた母だが、「障害者手帳がない。誰かに盗まれた」と言いだした……。
家族の大事な物は…
家族の大事な物は私が管理している。でも姉のものは母が持っている。まだできることはたくさんあるし、本人の強い意志もある。 私はイライラを体からドボドボと落としながら「いっつも自分で隠してわからなくなるだけじゃん。その度に私を疑うのやめてよ!毎日毎日、あんたたちために生きてるわけじゃないからね!」と、その辺を引っ掻き回し、余計な音を立てながら探す。 細かい話は省くが、母の記憶を辿りながら、受給者証は私が《パパに取られないでね》と書いたメモ紙と千円札10枚と共に、食器棚の奥から出てきた。保険証は古いのがあり、新しいのを捨てたようだ。障害者手帳は落としたらしい。 ここまでを把握してから、無知な私は思う。この探し出した、正式には《障害福祉サービス受給者証》という8つ折りでA3サイズになっている水色の用紙、これは何だ? すぐ傍で他人事みたいにテレビを見ている母に、「これいる?捨てるよ?障害者手帳と何が違うの?」とカッカしながら聞く。