にしおかすみこ、認知症の母がなくしたダウン症の姉の「障害者手帳」を作りに行く
母子手帳をめくると…
……何気なくページをめくった。一番後ろにふにゃふにゃっとした柔らかい字体のメモがある。 首がすわる 3カ月 すわる 6カ月 歯がはえる 9カ月 笑う4 はう 9カ月 つかまり立ち 9カ月 つたい歩き14カ月 歩き始め 1才4カ月 かたこと 1才半 り乳 10カ月 大小便をおしえる 3才 おむつがとれる 3才 大小便がひとりでできる3才半 はしで食べる 4才 シャツ、服を着る 4才 等々。若き頃の母だ。どんな思いで書いたのだろう。最初のほうの、”笑う4”は何だろう。4カ月かな、4回かな。どうかな。 私は独身で子育てもしたことがない。想像に欠けるなあ。でも産まれてすぐは全身あちこち管でつながれ、寝たきりか、すぐ死ぬだろうと言われていたと聞く。そうだとすると、ウソでしょう?と言いたくなる成長ではないか。胸が熱くなる。 「これ、私が預かっていい?」と聞くと、 「そうしてちょうだい。ママ、もう、すぐ忘れちゃうから。大事なものは全部、あんたが持っててくれると安心」 ……そう?じゃあいいか。……私は実家に戻ったら、ちょっとずつ日常の些細な思い出が溜まってきちゃって、情が移っちゃって、気持ちがブレて、少し困っているよ。
にしおか すみこ(お笑いタレント)