「バズーカ緩和」は消費税引き上げへの布石なのか?
ハロウィン追加緩和。10月31日に日本銀行が発表したさらなる金融緩和政策は、ハロウィン時期になぞらえて、こう呼ばれています。この追加緩和で日経平均株価は上昇し、「バズーカ第2弾」と呼ばれるほど市場に大きなインパクトを与えました。一方で、これは12月にも判断される消費税引き上げへの布石では? と見る向きもあります。今回の緩和は10%への消費税アップに影響を与えうるのでしょうか。 【画像】「消費税率10%」先送りするとどんな影響がある?
「8%」による景気減速が要因か
日銀は「『量的・質的金融緩和』の拡大」として、次のことを決めました。 (1)マネタリーベース増加額の拡大(賛成5反対4) マネタリーベースが、年間約80兆円(約10~20兆円追加)に相当するペースで増加するよう金融市場調節を行う。 (2)資産買入れ額の拡大および長期国債買入れの平均残存年限の長期化(賛成5反対4) この日銀の発表は世界を驚かせました。10月31日の始値は1万5817円14銭だった日経平均株価は、終値では1万6413円76銭と1日で600円以上の上昇を見せました。11月4日には年初来高値である1万7127円66銭を記録し、追加緩和以後は1万6000円台後半で推移するなど、株価は上昇傾向にあるといえます。また、為替も対ドル、対ユーロともに円安が進みました。 このインパクトに「第二の黒田バズーカ」が放たれたと表現されることもあります。 「31日の黒田総裁の記者会見では、物価下押しリスクを未然に防ぎたかったと強調していました。今回の追加緩和の一番大きな決定要因となったのは、消費増税がもたらした日本経済の減速のほうだと思います」 こう言うのは上武大学の田中秀臣教授です。消費税による景気の悪化は数字にも如実に現れているといえるでしょう。田中教授は次のように指摘します。 「今年4月の消費税増税による日本経済への悪影響は大きいといえます。実質経済成長率は前年比マイナス7.1%(4-6月期)。内需は前回の消費増税(1998年、マイナス5.8%)、リーマンショック(08年、マイナス1.1%)、東日本大震災(11年、マイナス5.7%)などの過去の経済危機的な状況に比較してもはるかに厳しいマイナス11%です。特に4月から8月にかけての消費(対前年比)は、最も所得の低い層で同12.1%と大幅に下落しました」 アベノミクスともてはやされた昨年の景気の上昇傾向とは打って変わっての落ち込み。その原因の多くは消費税といってもいいでしょう。あまりに経済指標の悪さに、来年に予定されている10%への増税を延期、取りやめするという議論も自民党内で出てくるようになりました。