グリーン上でウェッジ!? 「え?石川遼もやってたから」では済まされない! 大抵はローカルルールで禁止されています!
公式ではOKだがゴルフ場の都合でNGになっている
R&AとUSGAが定めるゼネラルルールでは、エリアごとに使用するクラブを制限しておらず、極論パターでティーショットを打っても問題はありません。では、グリーン上で、パター以外のクラブを使用してもよいのでしょうか。ゴルフ場の経営コンサルティングを行う飯島敏郎氏(株式会社TPC代表取締役社長)は、以下のように話します。 【動画】マネしちゃダメ!石川遼がグリーン上でウェッジを使った妙技を披露!50センチに寄せるスーパーパット?アプローチ? これが実際の映像です
「ゼネラルルールにおいて、『グリーンではパターしか使えない』といったことは決められていないので、本来のルールに則ったプレーならパター以外のクラブを使用しても構いません。しかし、国内のほぼすべてのゴルフ場では“ローカルルール”として、グリーンでパター以外のクラブを使用することは原則禁止としています。その最大の要因は、『コース管理上の不都合さ』にあります。例えばウェッジを使うとなると、ダウンブローでターフを取るように打つのが基本ですが、フェアウェイやラフなら目土をかけたり削り取ったターフを被せてあげたりすれば、応急処置ではあるものの芝の再生は早まるでしょう」 「ところが、グリーンの芝は少しでも体重をかけるとすぐに足跡がついてしまうことからも分かるように、非常にデリケートにできています。公式ルールではパター以外も認められていたとしても、グリーンがひとたび傷つくと修復に手間や時間を要するだけでなく、ライがアンフェアになって後続組にも迷惑がかかります」 「また、アプローチショット後にタップインするケースでは、パターに持ち替えずにウェッジの刃でそのままタップインする人も、たまにいるはずです。もちろん、ゼネラルルールでは認められておりペナルティもありませんが、どちらかと言えばマナーやエチケット的に不適切な行為だと思うので、やめておいた方が良いでしょう」 一方で、プロのトーナメントにおいては、各ゴルフ場が定めたローカルルールは適用せず、ゼネラルルールに基づいてプレーが行われます。そのため、グリーンでパター以外のクラブを使う選手も稀ながら見かけます。 米ツアー「バレロ・テキサスオープン」の舞台「TPCサンアントニオ オークスコース」の名物ホール、16番パー3のグリーンの真ん中にはバンカーが設けられています。2019年大会で、ブランドン・ハギ―選手はグリーンオンに成功したものの、転がしてカップを狙えないラインでボールが止まってしまいました。 この状況に直面したハギ―選手は、グリーン上でウェッジを使う判断を下し、見事にバンカーを越しピンに寄せたのです。 さらに国内ツアーでも、今年行われた「JAPAN PLAYERS CHAMPIONSHIP by サトウ食品」にて、石川遼選手が14番パー3のグリーン上でウェッジを使用しました。この時、ラインは下り傾斜で右へ大きく傾いており、石川選手はパターで打つと2~3メートルはオーバーする可能性が高いと判断しました。 そこで、ウェッジで強いスピンをかけることによって傾斜に打ち勝つようなショットをすれば、限りなくカップに寄せられるだろうと考えたのですが、実際に功を奏してカップから50センチに寄せることができました。