名古屋の柿谷曜一朗が移籍初ゴール後に”頭ペコリ”の理由とは?
大分戦のキックオフを控えた時点で、名古屋の1失点は消化試合数が少ないガンバ大阪と並ぶリーグ最少だった。しかも、唯一の失点はアビスパ福岡との開幕戦の後半37分に、DF吉田豊が献上したオウンゴールなので、相手チームに攻め込まれた末に奪われたゴールはまだ「0」となる。 3位に食い込んだ昨シーズンもリーグ最少の28失点と、堅守をベースにすえながら3シーズン目の指揮を執る、イタリア出身のマッシモ・フィッカデンティ監督は必然的な結果だと力を込める。 「吉田もオウンゴールを決めたくて決めたわけではないし、記録上では失点しているものの、私たちとしては開幕から9試合を守り切ってきた感覚がある。選手たちもそこに強いこだわりをもってプレーしているので、そういう試合をずっと続けられるようにしていきたい」 絶対的な守護神ランゲラック。キャプテンの丸山祐市と、日本代表に選出された中谷進之介のセンターバックコンビ。そして、豊富な運動量とボール奪取術に長けた稲垣と米本拓司のダブルボランチ。個々の質の高さもあるが、堅守の源泉は前線から繰り返される、労を惜しまないハードワークにある。 新型コロナウイルス禍で過密日程を余儀なくされた昨シーズンは、丸山と中谷がリーグ戦34試合、3060分間にフルタイム出場。稲垣も全34試合に先発して堅守を具現化したなかで、今シーズンはAFCチャンピオンズリーグ(ACL)の戦いが新たに加わってくる。 選手層を厚くし、存在するすべてのタイトルを手にするためにオフに加わったのがDF木本恭生(セレッソ)であり、FW齋藤学(川崎)であり、MF長澤和輝(浦和)であり、そして柿谷だった。大分戦では丸山と木本がセンターバックで、米本と長澤がダブルボランチで先発している。 試合は昨シーズンに続いて攻撃陣の核を担うFWマテウスの活躍で、前半のうちに2ゴールを奪取。大分に対して優位を保ち続けたなかで、柿谷がトップ下として途中出場した6分後の後半20分から、システムをそれまでの[4-2-3-1]から米本をアンカーにすえた[4-1-4-1]へ、終了間際には最終ラインに中谷を投入した[5-1-2-2]へと目まぐるしく変えた。 センターバックとボランチの両方でプレーできる木本をはじめとする新戦力の加入に、開幕直後から「私に新しい選択肢を与えてくれている」と手応えを感じていたフィッカデンティ監督は、3つのシステムを試合展開に応じて巧みに使い分けての零封勝利を満足そうに振り返った。 「次の試合もまた中2日で訪れるなかで、必要以上に体力を消耗しないように、まずはしっかりと守る判断を選手たちは下してくれた。2-0という状況をコントロールして、バタつくことなく試合を終わらせる、という考えを選手たちが抱きながらプレーしたことが非常に重要だと思っている」