憂鬱な冬を元気に過ごす秘訣は「逆らわずに楽しむこと」、どうやって? 専門家に聞いた
考え方を変えれば「魔法のような効果」、古代の知恵も、冬への“浮かれ方”を伝授
冬が近づくにつれて、日常生活が乱されるように感じる方もいるかもしれない。夕方の時間が暗くなり、日々のルーティンが闇に包まれて、今が何時なのかもわからなくなりがちだ。 ギャラリー:マイナス40℃の町に暮らす人々 写真11点 冬への適応は、現代の文明の利器によってますます難しくなっているのではないかと専門家は言う。人感センサー付きの照明やスマートホーム暖房システムといった住宅設備があれば、日常生活の質は上がる。しかしそれは、季節の変化に適応する人間の基本的な能力が妨げられるということでもある。 「私たちは、体の中のリズムとは違うリズムで生きています」。そう話すのは、健康心理学者のカリ・リーボウィッツ氏だ。「文明の利器は支障になりえます。季節に適応して行動を変える必要はないという考えを強めるからです」 昔からそうだったわけではない。米国ニューメキシコ州西部に暮らすズニ族などの米国の先住民文化では、舞踊や衣装を用いた儀式で、闇と冬の到来を祝ってきた。ペルシャ人も、紀元前502年には長い冬の始まりを祝うようになっていた。 では、変化する季節に抵抗するのではなく、それを受け入れるには、日常生活をどのように調整すればいいのだろうか。
季節への適応が健康にとって重要である理由
人間の体は、季節の変わり目に適応するようにできている。 「冬の間、私たちの体は進化で備わった自然のサイクルに入ります」。米アリゾナ州立大学の社会心理学准教授で、季節が心と体にもたらす影響について研究しているマイケル・バーナム氏はそう話す。「それは学習して身につけた行動や、偶然の一致ではありません。もっと深い本能的なところでプログラミングされていることなのです」 私たちのサーカディアンリズム(概日リズム)は、光や闇にさらされることで調節され、睡眠やエネルギーのレベルといった重要な機能を制御している。 朝の光によってストレスホルモンであるコルチゾールの分泌が促され、エネルギーが湧いてくる。一方、闇は催眠作用があるホルモンのメラトニンの分泌を刺激し、睡眠の準備を整える。リーボウィッツ氏によると、冬が来て暗いうちに起きるようになると、コルチゾールが少ないため、疲れたり気持ちが変化したりする可能性があるという。 「これには、多くの哺乳類が行う冬眠と似ている点が多くあります」とバーナム氏は言う。「運動も少なくなり、カロリーが高いものを食べるようになり、モチベーションも変化します」 冬にこういった生理的な変化が起きるのは、進化の過程が関係している。リーボウィッツ氏によると、初期の人類は、食料が少ない時期にエネルギーを節約するため、活動のペースを落としていた。しかし、現在の世界には、食料品店も配達サービスもある。そのため、どうしても自然のリズムに逆らった生活をしてしまいがちだ。