「つらければ逃げればいい」――爆笑問題・太田光にとって生きることは居心地のいい場所を探し続けること #今つらいあなたへ
否定する人からは「逃げていい」
たびたび、「死刑になりたいから人を殺そうと思った」と動機を語る殺傷事件が起きている。それを受けて「死にたいなら一人で死ね」という批判の声があがる。太田はレギュラー番組の中で、「もう死んでしまおうと思うことは、自分の命を大して重く見ていないということ。そうなっちゃうと他人の命も大切に思えないよね」と語った。「大切なのは自分で自分を褒めること。自分を好きにならないと、他人を好きになることなどできない」と太田は言う。 では、誰かに自分の存在を徹底的に否定されたら、どうすればいいのか。 「当たり前だけど、そこから逃げればいいんだよ」と太田は声を大きくする。 「つらい思いをしてまでそこにいるのは、それぞれの事情があるんでしょう。逃げられない子もいるんだろうね。でも、逃げたら変わると思う。俺は高校皆勤賞だったんですよ。誰かにいじめられたわけじゃないから、絶対ここから逃げないって思ってたの。それも一つのやり方だけど、そこまで頑張る必要なかったって今なら思うけど。でも、他人が自分を精神的に殺そうとしてくるなら、そんなところにいる必要ないですよ」 そういうつらい状況からは、逃げてしまえばいい。だが、もしかすると、そんな悩みさえも小さなことかもしれないと太田は笑う。 「俺は基本的に根っこは楽天家だと思うんだよね。人生なんて、そもそもうまくいかなくて当たり前だろうってね。自分を高く見積もってるから『これじゃ幸せじゃない』って思うんです。でもね、向田邦子という偉大な作家が、橋本忍という人の戯曲を読んで『逆立ちしてもかなわない』って書いてるんだよ。俺にしたら向田邦子のほうが全然すごいと思うけど」 天下の向田邦子でさえも、そんなことで打ちのめされたりする。それは太田に力を与えた。 「芸術家たちは、自分の経験を作品にして残しますよね。どんなに名を残した立派な人たちも、俺と同じ悩みを持ってたってことで勇気づけられたわけ。俺の悩みなんて、先人がさんざん悩んできたものと同じなんだなっていうことだよ」