公開1カ月で異例のヒット。口コミで広がる『ロボット・ドリームズ』の魅力とは
映画を彩る鮮やかな楽曲
本作で使用される楽曲も、物語に彩りを与える重要な要素の一つとなっており、セリフを持たないキャラクターたちの代弁者としてさまざまな楽曲が紡がれる。その中でも特に印象的なのが、形を変えて劇中で何度もリフレインされる、アース・ウィンド&ファイアーの「セプテンバー」だろう。「Do you remember?(きみは覚えてる?)」の一節から始まるこの楽曲は、監督が「脚本の第一稿から『セプテンバー』は存在していた。この曲を使うことが、映画を作る理由の一つだった」と語るほど、物語を象徴する存在となっている。
出会いと別れ、そしてその後の物語
本作のテーマとなるのは、「出会いと別れ、そしてその後」について。ドッグとロボットの友情という王道のストーリーを主軸にしながらも、別れや喪失についても描き出し、誰もが心の奥底に持つ柔らかな思い出にそっと手を差し伸べている。物語終盤の圧倒される展開に浸りながらも、鑑賞後にはきっと「この映画を届けたい」と思う、大切な誰かの姿が思い浮かんでいることだろう。だからこそ、この映画は口コミを通じてここまで広がっているのだと感じている。
シラクマ