健康管理や医療を受けるうえで必要になる知識とスキル【2025年の医療を予想する】#8
【2025年の医療を予想する】#8 このシリーズの締めくくりとして、これからの健康管理や医療を受ける上で大切なことをまとめておきましょう。 健康管理に革命が起こる? カギはウエアラブル計測機器とAI まず、「スマートウォッチ(以下ウォッチ)」を持っていない人は、そろそろ購入してみてはいかがでしょうか。歩数や消費カロリーは言うに及ばず、脈拍、血中酸素飽和度、睡眠の質、血圧などが測れて、普段の健康管理に役立ちます。とくに心電図を測れるものは、循環器の専門医たちも注目しています。異常を検出すると、家族や主治医に自動でメッセージを送ってくれるため、不整脈や早期の心臓病の発見に役立つと期待されているのです。 数年以内には、職場健診の項目の多くが、ウォッチで測れるようになるはずです。健診は年に1回か2回、しかしウォッチなら毎日測れます。ただ、いまのウォッチでもかなり多機能で、使いこなすのに時間がかかります。将来はさらに多機能になるはずなので、今から使い慣れておく必要があります。そのためにも「2025年はウォッチ元年を目指すぞ」という気持ちが大切でしょう。 それと合わせて、「AI(人工知能)」も使い慣れておいたほうがいいと思います。最新のAIは、東大入試や医師国家試験にも合格できるレベルまで進化してきました。ウォッチとAIを組み合わせれば、われわれの健康管理や病気の早期発見に役立つこと、間違いありません。 しかし普段からAIを使っていないと、ついつい“食わず嫌い”になり、ネガティブなイメージを抱いてしまうかもしれません。ネット上には無料のAIサービスがいくつもあります。使ってみて、AIとはこんなものという感触を養っておけば、信じすぎたり逆に全否定したりしないで済むはずです。まずは試してみることが大切です。 最後に「バイオサイエンス」について、多少は勉強しておくべきです。といっても、さほど高度なことは知らなくて大丈夫です。高校の生物学を勉強し直せば、バイオ医薬やmRNAワクチンの基本的なところが、十分理解できるようになるはずです。 また、いまや病気でもスポーツでも、食事管理や指導は分子栄養学に基づいて行われるようになってきています。血液検査などの結果から、どの栄養素が不足していて、どれが過剰なのかが分かるようになってきました。これらのことも、高校の生物学レベルで理解できます。 まとめると、ITとバイオサイエンスの基礎を抑えておけば、これからの健康や医療の話題についていけるということです。 (永田宏/長浜バイオ大学コンピュータバイオサイエンス学科教授)