写りがエモいとZ世代に人気“オールドコンデジ”、中古カメラを買う際に覚えておきたいこと
今、“第3のカメラ”がにわかに人気である。第3のカメラって言葉はさっき思いついたのだけど、そう表現するのが一番かな、と。 【写真】1997年7月、富士フイルム「DS-20」で撮影した表参道の同潤会アパートメント。今は取り壊されて表参道ヒルズに。35万画素 今の人たちにとって「第1のカメラ」はスマホ、「第2のカメラ」はデジタル一眼だ。かつて一世を風靡した「コンパクトデジカメ」は、スマホの進化によっていつの間にか市場がシュリンクし、それを知らない世代が多いのである。 でも、スマホとデジタル一眼の間にギャップが残った。そこを埋めるのが第3のカメラだ。大仰な言い方をしたのは、そこに位置するカメラのバリエーションが実に広いから。
チェキを代表とするインスタントカメラもそうだし、TikTokをきっかけに一部で流行したトイコンデジもそうだし、「写ルンです」を含むフィルムカメラもそこに位置する。そして、かつてのコンパクトデジカメが“オールドコンデジ”という名でそこに含まれるのである。 どうやら、最初に使ったカメラが「スマホ」で、それ以外に目にするのは「デジタル一眼」という世代には、オールドコンデジが新鮮に映るようなのだ。
■オールドコンデジの何が面白い? 普通、「第3のナントカ」といえば新しく登場した新ジャンルという印象だけど、面白いのは、アナログやデジタルの古いカメラが若い人に“再発見”された結果であること。 ここで注目するのが、オールドコンデジと呼ばれるカメラたちだ。特に定義はなさげだが、だいたい2000年代半ばから2010年半ばくらいの、コンパクトデジカメ全盛期の製品と思えばいい。 わたしが「今、古いコンデジで撮る写真がエモい、と人気だよ」と教えてもらったのが2023年初頭。「まさかそんなことが?」と調べてみると、2022年くらいからSNSを中心に、カメラがコンパクトでかわいい、撮れる写真がエモい、などの理由で流行っていたのである。
古いコンパクトデジカメで撮った写真のみならず、“モノ”としてコンパクトデジカメを愛でるなど、「オールドコンデジ」という世界そのものを楽しんでいる風である。 なぜだろうと考えたとき、ふと思い出したのが自分たちの若いころ。1990年代から2000年初頭くらい、ホルガやロモといったトイカメラが流行ったことがあったのだ。 発端は、1984年に当時のソビエト連邦で発売された量産カメラ「LOMO LC-A」を、90年代初頭にウィーン大学の学生がプラハで入手し、そのカメラにハマったのがはじまりだ。それは今のロモグラフィー社につながるのだけど、日本にもその文化が入ってきて、ロモやホルガといったチープで安いカメラで撮った写真が「エモい」(当時はそんな言い回しはなかったけど)と、主にサブカル系の文脈で盛り上がったのだ。 何でもない日常の一瞬がアートになる、という感覚。今のスマホカメラを使い慣れた人に、オールドコンデジはそういう存在なのかもしれない。 ■オールドコンデジを復活させてみた ほんとにオールドコンデジはエモい写真を撮れるのか。ちょっと復活させて試してみたい。 ただ、オールドコンデジとひと口にいっても、世界初のモニター搭載コンデジであるカシオ「QV-10」の発売が1995年なので、あれから30年近く。 黎明期のデジカメは、基本が35万画素。当時、パソコンの画面はVGA(640×480ピクセル)が基本だったのでちょうどよかったのだが、今の解像度が高いパソコンの画面で見ると、100%表示にしても画面の真ん中にちょこんと表示されるだけで、時代を感じさせる。