オアシス、世界を制したギャラガー兄弟が大いに語る「あの頃の俺らはマジで最高だった」
ギャラガー兄弟の荒ぶる関係
「Champagne Supernova」のビデオ撮影の2日目、リアムは限界だった。何時間も横たわっていたベッドから飛び起き、撮影現場から足早に立ち去ろうとする。「カメラを向けられたまま、こんなところに何時間も寝っ転がってられるか」と彼は怒鳴る。「風邪ひいてるんだよ」。監督のナイジェル・ディックが座っているリアムに歩み寄り、ひざまずいて静かに話しかける。しかし、リアムは腕を振り回しながら言う。「無理だって。カメラを顔の真ん前に突きつけられたままずっと横たわってるなんて」。鼻を指差しながら、彼はこう続ける。「マジで風邪ひいてるんだよ」。 ランチ休憩の時間だ。楽屋に向かうノエル、ホワイト、マッギーガンを尻目に、ボーンヘッドとリアムは(奇跡的に風邪が治ったらしく)パブに行く。これが典型的なパターンだ。騒がしいリアムとボーンヘッド、そして寡黙なマッギーガンとホワイトがそれぞれペアになる。ノエルはというと、多くの時間を一人で過ごすか、バンドに関する雑務をこなしている。結局のところ、オアシスはノエルのグループなのだ。楽曲、歌詞、ビジネス面の意思決定に至るまで、ほぼすべてを彼が担当し、他のメンバー4人もそれを進んで受け入れている。 「5人全員でやるよりも、誰か1人に任せたほうがいいんだよ」とボーンヘッドは話す。「その方がずっと早く片付くんだ」。 パブでボーンヘッドの隣に座ったリアムは、しばしば衝突する兄との関係について語る。「俺とノエルは同類だ。あいつはクソ野郎だし、俺もそうだ。あいつに騙されるなよ、マジで最低の奴だからな。俺ばっかりクソ野郎扱いされるのは、あいつがそう仕向けてるからだ。あいつが俺をクソ野郎ゾーンに押し込むんだよ」。 リアムとノエルは同じゾーンにいるかもしれないが、それだけではノエルと他のメンバーとの距離感を説明できない。リアムや他のメンバーがオアシスを結成するまでイングランドの外に出たことがなかったのに対し、ノエルがインスパイラル・カーペッツと共に世界中を回っていたことは、その距離感の一因なのかもしれない。「俺は他のメンバーよりもずっと冷静だよ」とノエルは言う。「オアシスが初めて日本に行った時、俺はそれが6回目の来日だった」。 「ある意味では残念だけどな」。彼は珍しく感傷的になってそう言った。「あいつらと一緒だったらよかったのにって思うよ」。 面と向かって話していると、ノエルは弟よりも落ち着きがあり、思慮深い人物だと感じる。リアムが次々に発する挑発的な言葉を、彼は無理して考え出しているような節もある。もちろん彼はやり遂げるが、温厚な本来の自分と戦っているように思えることも少なくない。彼と弟が喧嘩しているところを録音したテープを聞いたとき(飛び交う罵声はシングルとしてリリースされ、イギリスのチャートで52位を記録)、ノエルの友人たちは怒りを露わにする彼の様子に面食らったという。 ザ・キンクスのレイ・デイヴィスはノエルと接点がある。バンドのメンバーである弟のデイヴとの衝突を経験しているだけでなく、彼は昨年のブリット・アワードでオアシスに最優秀新人バンド賞を授与した。「バンドに兄弟がいると、状況がエスカレートして何かとピリピリしがちなんだ」とレイは話す。「嫌でも一緒にいる時間が増えて、摩擦が生まれるんだよ。でもその反面、ある種のテレパシーが働くのも事実なんだ」。 ギャラガー兄弟の荒ぶる関係は、イギリスのタブロイド紙で毎日のように大きく取り上げられている。彼らの薬物使用や喧嘩に関する記事は、今や王室の浮気や離婚のそれと同じくらい一般的になっている。 「『オアシスのドラッグショック』っていうヘッドラインが雑誌の一面を飾ったことがあるよ」とノエルは言う。「一体誰にとってショックなんだ? 俺たち全員が教会に行ったら、もっとショックだろうな。『オアシスの宗教ショック』ってか」。