世界的なチョコレート危機「カカオショック」とは? スイーツ好きが今できること
チョコレートの原材料のひとつ、カカオの価格が近年急騰しているのをご存じだろうか? カカオの生産地で今起きていること、私たちにできることをチョコレートジャーナリストの市川歩美さんに聞いた。
カカオ価格の急騰「カカオショック」とは?
最初に知っていただきたいのは、カカオの国際価格はNYとロンドンで行われる先物取引が指標になるということ。その指標が今年、2024年のバレンタインに1トンあたり6,000ドルを超え、3月には1トンあたり10,000ドルを突破しました。 2023年3月の終わり頃は1トンあたり約3,000ドルだったので、1年で3倍以上にカカオの価格が膨れ上がった形です。ちなみにこれまでのカカオの最高値は1977年の5,700ドル台だったので、前例がないほどの急騰ぶりでした。
記録的な価格高騰の原因は?
価格高騰の主な原因は、西アフリカのガーナとコートジボワールの異常気象による供給不足です。この2カ国は世界で流通するカカオ豆の約6割以上を担っていますが、近年大雨による洪水や干ばつといった極端な天候不良が続き、昨年収穫量が3~4割ほど落ち込んでしまいました。 また、2022年12月にガーナがデフォルト(債務不履行)になったことも、収穫量減少の理由のひとつ。ガーナのカカオ栽培は家族経営の小さな農園が多く、すべて国が管理しているため影響も大きい。必要な農薬や肥料が届かない、ネットはもちろん電話もないような農園が多いため、情報も伝わらず、結果、新たに発生した害虫被害への対応が遅れたのです。 また最近では金の不法採掘で畑を荒らされ、農園を続けることができなくなった農家もいると聞いています。 そんなさまざまな要因が重なって、現地ではカカオ農家を辞める方や、子どもは別の仕事につかせたいと考える親が増えています。
日本への影響はいつから?
すでに各所で値上げは行われています。例えばこれまで12袋入っていたチョコレート菓子のアソートパックが8袋に減っていたり。急に価格があがると消費者もびっくりしてしまうので、内容量で調整して消費者にあまり抵抗がないよう工夫しているように感じますね。 大手菓子メーカーは今はまだカカオ豆のストックが残っているなどの理由で、チョコレートのお菓子の値段が急に上がることはないはず。ただ、今後の対策は考えているでしょう。