初期症状がない「胃がん」を早く見つける方法はご存じですか? 胃がん検診の流れや注意点も医師が解説
胃がんを早期に発見し、早期治療をおこなうために欠かせない「胃がん検診」。そのため、定期的に受けることが推奨されているものの、具体的にどのような流れでおこなわれるのか気になりますよね。今回は、胃がん検診の流れや前日・当日の注意点などについて、「横浜内科おなかクリニック」の山田先生に解説していただきました。 【イラスト解説】がんを予防する可能性が高い“食べ物”
胃がんは見つかったときには進行している?
編集部: まず、胃がんについて教えてください。 山田先生: 胃がんとは、胃の内側の粘膜から発生する悪性腫瘍です。世界的に見ても非常に多いがんの1つで、日本でも多くの人が罹患しています。早期に発見して治療すれば、比較的予後の良いがんでもあります。しかし、進行するにつれて徐々に粘膜下層、固有筋層、漿膜(しょうまく)と、粘膜の深いところに進んでいき、治療が難しくなってしまいます。 編集部: 胃がんになると、どのような症状が出るのでしょうか? 山田先生: 初期の胃がんでは、自覚症状がほとんどありません。進行すると、上腹部の痛みや不快感、食欲不振、体重減少、吐き気や嘔吐、黒い便(タール便)などが表れることもあります。これらの症状がみられる場合、すぐに医療機関を受診しましょう。 編集部: 気づいたときには進行しているのですね……。 山田先生: そのとおりです。胃がんの診断には、胃カメラ(上部消化管内視鏡検査)が最も一般的なので、早期に見つけるためには、症状がなくても定期的に胃がん検診を受けることが重要です。
胃がん検診ではどんなことをするの?
編集部: 胃がん検診では何をするのでしょうか? 山田先生: まずは問診です。これまでにかかった病気や家族歴、胃がんのリスク要因である喫煙や飲酒の習慣や、食習慣などを確認します。また、胃がんのリスクを高めるとされる「ヘリコバクター・ピロリ菌」という細菌の感染歴や除菌歴を聞くこともあります。その後、胃カメラやX線検査(バリウム検査)でより詳しく調べます。 編集部: 胃カメラについて教えてください。 山田先生: 口から内視鏡(小型カメラ)を挿入し、胃の粘膜を直接観察して、がんやそのほかの病変の有無を確認します。異常が見つかった場合は、その場で組織の一部を採取して、病理検査をおこないます。 編集部: X線検査についてはいかがでしょうか? 山田先生: バリウムという造影剤を飲んだ後、X線撮影をおこなう検査です。バリウムが胃の粘膜に付着すると、X線でその部分が白くうつることを利用して、胃の異常な部分を見つけることが目的です。検査台で体を上下左右に動かして胃の中のバリウムを移動させ、胃の変形などを見つけます。 編集部: 様々な検査方法があるのですね。 山田先生: ほかにも、胃がん検診の一環として、血液検査によってピロリ菌感染の有無と、胃の粘膜の萎縮度で胃がんのリスクを調べる「ABC検査」がおこなわれることもあります。