少年時代は背中に墨で背番号「3」、大学時代は寮で熱唱し近隣トラブル…“絶好調男”中畑清氏が語る成長秘話 巨人からのドラフト指名も喜べず!?
ムード歌謡熱唱で近隣から苦情
中畑氏は大学時代、グラウンドで大活躍していた一方、寮では近隣トラブルを招いたことがあるという。 中畑: ベランダに出て、クールファイブの歌とかをアカペラで歌うことが俺は好きだったの。グラウンドに向かって歌うの。ひとつの仕事だと思ってやってた。 徳光: キヨシさんだけじゃなくて、みんながそういう演歌やムード歌謡を歌ってたんですか。 中畑: 僕だけですよ。僕が部屋のベランダから歌ってるだけです。そうすると、ご近所の方々から監督のところに、「中畑がうるさいんですけど」っていう苦情の電話が入るらしいんだよね。 中畑: 監督がマネージャーに「すぐに中畑をやめさせろ」って電話。それで、文句を言いに来たから、俺は頭にきた。「俺の歌をただで聞けるのに何言ってんだ」って、もう1回大きな声で歌ってやったの。 徳光: 変な大学生だね(笑)。
「巨人1位指名」報道に舞い上がり…
徳光: 4年秋にジャイアンツにドラフト3位で指名されたんですけど、3位という順位が不服だったんですよね。 中畑: みんな勘違いしちゃってるんだけど、本当は僕は不服じゃなかったんですよ。 ドラフト当日の朝、報知新聞が、「巨人、中畑1位指名」って、私の顔写真入りの一面を出したんですよ。でも、本当は俺の評価はそんなになかったんですよ。 徳光: そうかな。 中畑: ほんとにそう。(同じ駒澤大学の)平田(薫)、二宮(至)の方が1位で競合するんじゃないかって言われるくらい評価が高かったの。 それで、合宿所がすごかったですよ。マスコミが100人近くいたんじゃないですか。だって、ドラフト1位候補が3人だから。3人が学ラン着て神妙な顔して、さぁドラフトが始まりました。「読売、篠塚利夫、銚子商業」。「誰、それ?」、ガクッみたいな。 俺、もうカチカチになって待ってたのにさ。しかも、初めて聞く名前ですよ。 徳光: シノさんのことを知らなかったわけですね。 中畑: 全然知らないですよ。 12球団の1位指名が終わって、平田、二宮も出てこないの。3人はどっちらけですよ。マスコミの人は1位指名のところに飛んでかなきゃいけない。もう一回りしても3人とも名前が出ないから、100人近くいたマスコミは何人かずついなくなっていくわけですよ。あの雰囲気は寂しかったな。 こっちは何の感動もなくてね。諦めて会場の奥にあるマネージャー室のこたつに入って将棋をさしたりしてね。そしたら、しらけた雰囲気の中、遠くから「読売、中畑清、駒沢大学」って聞こえた。「ふふん、なんだそれ」って。喜びも何もなかったね。 徳光: なるほど。 中畑: あんなになっちゃうんだね。本来の評価は3位ぐらいなのよ。それがあの新聞とあの雰囲気で、あっという間に1位のプライドが生まれちゃった。人間って怖いよね(笑)。
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