少年時代は背中に墨で背番号「3」、大学時代は寮で熱唱し近隣トラブル…“絶好調男”中畑清氏が語る成長秘話 巨人からのドラフト指名も喜べず!?
駒大野球部は「声の大きさ」で合格!?
中畑氏は安積商業高校(現・帝京安積高)から駒澤大学に進学。当時、駒澤大学野球部を指揮していたのは太田誠氏(現・終身名誉監督)だ。34年間で東都リーグ優勝22回、全日本大学野球選手権優勝5回、明治神宮野球大会優勝4回を達成した名将で、中畑氏在学中も、8回のうちリーグ優勝5回、2年のときに明治神宮野球大会優勝、4年のときに全日本大学野球選手権優勝と圧倒的な強さを誇った。 徳光: 駒澤大学からオファーがあったわけでしょ。 中畑: これも不思議なんですけど、他校の高校の監督をやってた駒澤大学のOBの人が、「中畑君、駒澤のセレクションを受けてみないか」って言ってくれたんです。そのセレクションには百何十人か来たのかな。今でも言われてるんですけど、「その中でも、とにかく声がデカくて目立ってた」って。確かに僕は声だけは誰よりも大きい。それに関しては今でも変わってないんですけどね。 それで入った駒澤大学で太田誠という恩師に出会ったんです。太田さんの考え方はすごくシンプルで、100人いてもスタートラインは全員一緒。そこから、その選手と他の選手との差が何かを、みんなに認めさせるような練習をさせるわけです。秀でてる者は一歩ずつステップアップしていく、チャンスを与えていく、その競争をさせるんですよ。 徳光: 「人間力」を教えてくれたのは太田さんだったとお話しになってましたよね。 中畑: ええ、私の原点ですね。 徳光: 太田さんは、いろいろ難しい言葉もおっしゃったんですよね。 中畑:“姿即心(すがた すなわち こころ)”。「心が姿に現れる、表に出るよ。ウソはつけないんだよ」ってことを語ってる言葉なんですけど、太田さんの教えの中で好きな言葉ですね。
一本足打法で打撃開眼…2年秋にMVP
徳光: 太田さんから技術的な指導を受けて、それまでと変わったっていうのはどんなところですか。 中畑: 一本足です。ほんとにマンツーマンで練習した。全体練習が終わったあとも1時間ぐらい太田さんの指導を受けたんです。 徳光: それでどう変わったんですか。 中畑: 自分の人生が変わりました。だって、デビュー戦でホームランを打ちましたもん。神宮でライナーで左中間にぶち込んだ。 徳光: それは飛距離が伸びたってことですか。 中畑: 飛距離もそうですし、安定感、率も上がった。ばらつきがなくなって対応能力が増えていった。 徳光: その成果が2年の秋に現れるわけですよね。 中畑: はい。2年の秋に、初めて最高殊勲選手、MVPを取りましたよ。 徳光: “中畑清”っていうアイデンティティーは駒澤大学で生まれて、それがプロ野球のオファーにも結び付いていったってことですかね。 中畑: そこから名前が出て注目される存在にはなりましたからね。
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