なぜ久保建英と三笘薫の初共演は不発に終わったのか…Uー24代表がアルゼンチンに0-1惜敗の理由
お互いを尊重し合っても実戦のなかで化学反応を起こせなかったのは、それだけアルゼンチンのレベルが高かった証となる。クロスバーのわずかに上を越えた、利き足とは逆の右足で放った後半35分のボレーを含めて、チーム最多の3本のシュートを放った久保は言う。 「どのカテゴリーでも世界でも一緒ですけど、ゴールを決めたチームと決めていないチームとでは、天と地ほどの差が開いてしまう。決めないと勝てないし、決められたら負ける。課題ははっきりしているので、次は自分たちが笑って終われるようにしたい」 国際親善試合の目的でもある強化を図っていく上で最高の教訓を与えてくれた強豪国と、舞台を北九州スタジアムに変えて29日に再び顔を合わせられる。そして、試合後の久保が最後に残した言葉は、そのまま次戦で周囲を生かすヒントにもつながっていく。 キャプテンのDFネウエン・ペレス(グラナダ)をはじめ、GKヘレミアス・レデスマ(カディス)、決勝点をアシストしたMFマティアス・バルガス(エスパニョール)が同じラ・リーガでプレーしている状況を受けて、久保は「自分がどういう選手かはばれている」とこう語っている。 「自分がボールを受けやすくて、なおかつ相手の嫌なところにいたつもりですけど、そうなると相手も馬鹿じゃないので自分を消しにくる。それで外が空いたりするので、自分がボールを受けられなくても2人目、3人目の動きを意識しながら今日はやっていました」 自分がおとりになってトップ下の位置で複数の選手を引きつければ、その分だけサイドにスペースができて味方を生かせる。続けてコンビネーションを発動させて、自分も加わっていけばいい。 新型コロナウイルスの防疫措置として、ヨーロッパ組と国内組は宿泊しているホテル内のフロアも、食事会場も、移動のバスも、練習時のロッカールームもすべて別々になっている。コミュニケーションを取る時間が極めて限られているからこそ、触れ合える貴重な場所となる練習のピッチで思いをぶつけ合い、意識を擦り合わせ、課題を克服するための方策を共有していく。 久保が先発フル出場した関係で、第2戦でどのように起用されるのかは現時点で未定だ。それでも初共演が不完全燃焼に終わったからこそ、横内監督も期待する三笘と久保のあうんの呼吸は悔しさを糧にして、母国開催のヒノキ舞台でメダル監督を目指す日本の武器になる可能性を膨らませていく。 (文責・藤江直人/スポーツライター)