「愛知にこどもホスピスを作りたい!」地元企業の心を動かした、親たちの願い
病院や行政の補助に頼らない理由とは?
8年前、大阪に日本で初めてオープンした『TSURUMIこどもホスピス』。太陽の光が多く差し込み、木のぬくもりが感じられる館内。棚には、たくさんのおもちゃが並ぶ。
「ホスピスが“第二のおうち”として、存在したいという願いがある」と話すのは、『TSURUMIこどもホスピス』の西出由実さん。館内には、看護師や理学療法士がスタッフとして常駐しているため、子どもたちは安心して遊ぶことができると施設について説明する。
『TSURUMIこどもホスピス』を利用した濵田あずささんは「(子どもが)しんどくなったりすることが起こりえることも、分かっていてくれているから、子どもを中心に遊ばせてもらえる」と施設の良さを語る。
あずささんの娘・心絆ちゃんは小児がんと闘病中。病院スタッフや家族以外の人と関わる機会は、心絆ちゃんにとって貴重な機会だという。
「私が席を外していたら、看護師さんと仲良くしゃべっていたりとか。あの子にとっても、“吐き出す場所”じゃないですけど、できる限りのやりたいことをかなえてくれる場所」と、“こどもホスピス”ならではの魅力を語った。
『TSURUMIこどもホスピス』では、イベントや施設の利用料は無料。運営にかかる費用はすべて、企業や個人からの寄付でまかなっている。資金面については、病院や行政からの補助には頼っていないという。
その理由について、『TSURUMIこどもホスピス』西出さんが挙げたのが、子どもたちの“自由”。「重い病気とひとくくりにしても本当にさまざまで、子どもたちの思いもさまざま。そのニーズに応えるためには、行政サービスでは難しい。チャリティーで自由度を高めている」と明かした。
子どもたちが自由に過ごせるよう、企業や個人からの寄付で資金をまかなう『TSURUMIこどもホスピス』。愛知県でも、この活動を理解し、協力してもらえる、人や企業を見つけることが今後の課題なのだ。
地元企業も協力「活動が広がるキッカケになりたい」
「愛知こどもホスピスプロジェクト」の活動に対して、すでに動き始めている企業がいた。名古屋の老舗精肉店『肉のスギモト』だ。 2024年6月、名古屋市中区にある『SD FOOD MARCHE』で行われたのは、病気と闘う子どもとその家族を招待したイベント「お肉DEケーキ」。「肉のスギモト」の肉を使って、家族全員で肉のケーキを作るイベントだ。