「愛知にこどもホスピスを作りたい!」地元企業の心を動かした、親たちの願い
「重い病気のこどもや家族のための、『こどもホスピス』をつくりたい」 今年6月9日、そんな想いをのせた無数のシャボン玉が、名古屋の空に一斉に舞い上がった。資金面の課題から、設立まで長い時間を要する『こどもホスピス』。しかし、設立に向けた地道な活動は、着実に名古屋の企業や人々の心を動かしていた。
立ちはだかる“設立費5億円”の壁
2024年6月9日、名古屋市昭和区にある『鶴舞公園』の広場。子どもから大人まで、約50人が一斉に飛ばしたシャボン玉には、“ある願い”が込められていた。
シャボン玉が舞い上がった広場で行われたのは、“ある願い”への寄付。「こどもホスピスプロジェクトの活動資金として、大切に使わせていただきたいです」と寄付金の使い道について語るのは、「愛知こどもホスピスプロジェクト」理事の安藤晃子さんだ。 シャボン玉と寄付金に込められた、“願い”。それは、重い病気のこどもや家族のための「こどもホスピス」の設立だ。
「こどもホスピス」とは、緩和ケアのための施設ではなく、子どもらしく思いっきり遊んだり、家族と過ごしたり、宿泊できる、子どもたちの“やりたい”を応援する施設のこと。
まだ全国に2か所しかなく、愛知県には設立されていない施設だ。設立の壁となっているのが、資金面の課題。「愛知こどもホスピスプロジェクト」代表の畑中めぐみさんによると、設立には5億円もの費用が必要となるが、資金調達の目途は全くついていないという。
亡き娘が教えてくれた、“やりたいこと”を“できた”に変える大切さ
建設まで長い道のりとなる、「こどもホスピス」の設立。しかし、「愛知こどもホスピスプロジェクト」で精力的に活動を続ける1人、安藤晃子さんには「こどもホスピス」を設立したい大きな理由があった。
その理由の軸となっているのが、安藤さんの長女・佐知ちゃんの存在。活発で、やりたいことははっきりと口にするタイプだったという佐知ちゃん。“お医者さんになりたい”という夢を抱いていた年長さんの冬、血液のがん「白血病」と診断された。