【Q&A】沖縄県知事選、主要な争点や過去の選挙結果は?【図解】
Q:沖縄の政治報道で耳にする「オール沖縄」って何?
A:沖縄県では米軍基地を容認するか否かを軸に、長期間にわたって「保守」と「革新」が対立してきました。しかし、普天間飛行場の名護市辺野古への基地移設反対を旗印に、このような従来の保革対立を乗り越えた枠組みで結集した政治勢力が「オール沖縄」で、近年、国政選挙や自治体選挙などで圧倒的な存在感を発揮してきました。この流れを作り出したキーパーソンは前知事の翁長雄志氏です。 自民党沖縄県連の幹事長を若くして務め、県内保守政界の実力者だった翁長氏は、2012年に米軍が新型輸送機オスプレイを沖縄に強行配備したことなどに反発。「イデオロギーよりアイデンティティー」を訴え始めました。 このような翁長氏の訴えに、県内の革新勢力のみならず一部保守系や経済界の重鎮らが呼応します。14年の知事選で翁長氏は、前回の知事選で自らが選対本部長として支援した仲井真弘多知事の対抗馬として出馬し圧勝。その後も国政選挙で「辺野古移設反対」を訴える候補を擁立し、多くの選挙で勝利を収めました。急逝した翁長氏の後を継いだ玉城デニー氏も「オール沖縄」の支援を受けて戦って勝利した一人です。 一方、内部ではけん引役となってきた著名経済人が相次いで「オール沖縄」から距離を置くようになるなど勢いに若干の陰りもみられます。直近の7月の参院選では、オール沖縄系候補が自民候補をわずかな差で破っていますが、今回の沖縄県知事選ではどのような結果になるでしょうか。「オール沖縄」の今後の行方を占う選挙といえるかもしれません。
Q:「基地」以外にはどんな争点があるの?
A:ここまでは基地問題を中心に沖縄が抱える課題を見てきましたが、知事選の争点はこれだけではありません。各候補が公約で「観光と全ての産業とのコラボで観光客2000万人」(下地候補)、「県経済のV字回復のため観光関連産業を中心に1000億円規模の支援」(佐喜真候補)、「コロナの影響を受けた県内事業者の事業継続や雇用の維持等の支援」(玉城候補)と訴えるように、コロナ禍で傷ついた県内経済の立て直しも論点になっています。 今年は沖縄の本土復帰50周年という節目の年でもあります。基地問題という国政とも関わる問題のほか、地域経済の活性化やコロナ対策などの課題も山積する中、沖縄県の舵取りを誰に託すのか、沖縄県民の選択に注目が集まります。