超ニッチ市場での意外な必勝法 安定志向の地元、怖がりな僕でも“不戦勝”戦略で起業家大賞に
巨大迷路やトランポリン、ウォータースライダー、お化け屋敷などを商業施設や観光施設のイベントに貸し出す遊具レンタルの業界で、「国内最大級」という約800種のアイテムをそろえているのがワン・ステップ(宮崎市)です。 社長の山元洋幸さんは大阪府出身。宮崎大学大学院の学生時代に起業しました。「強者のいるリングに上がって勝負を挑むより、誰もいないリングを選んで『不戦勝』になった方がいい」と言います。どんな経営信条を持っているのか。起業の経緯も含め、山元さんに聞きました。
高校時代は「落ちこぼれ」
身長180センチ。体重110キロ。山元さんは、元アメリカンフットボール選手という巨漢に似合わず、物腰がとても柔らかい印象です。 ベンチャー(冒険的・野心的)企業には、その名の通りリスクが伴いますが、山元さんは「社名の通り、一歩ずつコツコツとやって、なだらかな右肩上がりを続けたい」と言います。山元さんの妻で、社の経理を担当している佳代子さんも「夫は堅実な道を選ぶ性格。本人も『怖がりだ』と自己分析しています」と話しています。
大阪府富田林市出身。奈良県の進学校・西大和学園高校に進みますが、入学直後から学業は振るわなかったそうです。成績不振を理由に部活動をすることも許されず、山元さんは「そうかといって、いっぱい遊んだわけでもない。テキトーに過ごしてクラスの『底辺』にいた」と振り返ります。 山元 「今思えば、いい経験でした。やるべき努力をしなければ何も生み出せないことを思い知りました。同時に、勉強でも何でも、人から強制的にさせられることが苦手であることも自覚できました」
【山元洋幸(やまもと・ひろゆき)】 ワン・ステップ代表取締役社長 1977年生まれ。大阪府出身。 宮崎大学大学院在籍中、宮崎商工会議所の中心市街地活性化事業でチャレンジショップを開業後、中古車販売業などを経て、2002年に宮崎市でワン・ステップを設立。空気で膨らむエア遊具を全国各地の観光施設や商業施設にレンタルする。 保有する遊具は約800種で国内最大規模。 エア式のノウハウを生かし、医療用陰圧室や建築現場のセーフティーネットなど多様な商品を展開する。