超ニッチ市場での意外な必勝法 安定志向の地元、怖がりな僕でも“不戦勝”戦略で起業家大賞に
土産物、中古車、車いすから遊具へ
2001年3月末でチャレンジショップを終えた山元さんは、相変わらず、事業のネタに困っていました。先の2人が再び手を差し伸べてくれます。 山元 「新聞販売店主の方が『新聞配達や集金をしながら、ウチの敷地で中古車販売をやったらいい』と勧めてくれました。それで食いつないでいたところ、観光施設の社長さんが『子ども用の遊具を探してきたら買ってやる』と言ってくれたのです。みなさんのご厚意を受け、何としても宮崎に恩返ししなければ、との思いを強くしました」
観光施設の社長は「県外出身者が宮崎で起業しようと決意するなんてありがたい」と意気に感じていたようです。山元さんは思案の末、100円で2分程度動く、子ども用のバッテリーカーを取り寄せました。好評でしたが、それだけでは利益は薄く、射的やヨーヨーすくいなども投入していきました。 2002年6月、25歳のときに「ワン・ステップ」を設立。同時に始めた高齢者向け電動車いすのレンタル事業が成功し、一時は売り上げの8割を占めたそうです。子どもと高齢者の双方で「さあ、これから」というタイミングで、介護保険制度の改正があり、電動車いすの事業は続行不能に。試行錯誤が続きました。 山元 「法改正をきっかけに高齢者を諦め、子ども向け遊具に特化する中で、エア遊具に出会いました。当初は私がイベント会場に遊具を持ち込んでお客から集金していたんですが、遊具を事業者にレンタルする方式に変えたところ、販路が広がりました」 レンタル方式を採用する同業他社は九州にはなかったこともあり、県外からもどんどん引き合いが来るようになりました。 「競争に勝つには、負ける要素を減らすべきです。だから競合他社の多い分野でなく、競争する相手が少ないニッチな市場を選ぶ。まだ誰も気づいていないニーズを見いだし、いち早く商品・サービスを投入する。その繰り返しがわが社の持ち味だと思っています」