世界で人気のカクテル「ネグローニ」 和風にしてみたら…外国人にも大好評 ザ・キャピトルホテル東急
■人気カクテル「ネグローニ」 和のテイストに
改装前の旧ホテル時代から、ザ・キャピトルホテル東急は「和」のテイストをふんだんに生かした、独特の空気感をまとう館として知られてきました。坪田さんがぜひにとおすすめしてくれた1杯も、まさに和テイストを堪能できる同ホテルのシグネチャーカクテルです。 名前は「折り紙」。「世界でもっともよく飲まれているといわれる『ネグローニ』の日本版をイメージしました」。ネグローニは本来、ジン、カンパリ、スイートベルモットで作るカクテルですが、折り紙はジャパニーズクラフトジンを使い、ベルモットをみかんジュースに変えています。 ネグローニはしっかりしたアルコールと、酸味と苦みのバランスが見事なカクテルです。一方、折り紙はみかんのやわらかい甘みと酸味という、かんきつ系が織りなす上品な味わいが特徴といえるでしょう。 用いるグラスは江戸切子。歌舞伎の化粧「くま取り」をイメージした模様で、手にした外国人のお客様の多くが大いに喜ぶそうです。グラスの縁にはみかんの皮でできた飾りをちょこんと添えて。「これはかつてホテルの池に住んでいた亀なんですよ」。なるほど折り鶴と亀の組み合わせとは、なんとも縁起がよいカクテルですね。 ここを訪れた際には、ぜひ足元に目を向けていただきたいと思います。床に敷かれたカーペットには、優美な筆文字の模様が描かれています。こちらは本阿弥光悦の書「新古今和歌集」の仮名文字を部分的に切り取り、デザイン化したものです。こうして随所に取り入れられた和の内装をひとつひとつ味わううちに、きっと日本の意匠の美しさを再発見することになるでしょう。 文:THE NIKKEI MAGAZINE 編集長 松本和佳 ※この記事は「THE NIKKEI MAGAZINE」の記事を再構成して配信しています。