クラブW杯日本開催返上の“功罪”
日本サッカー協会(JFA)は9日、12月に予定していたFIFAクラブワールドカップの日本開催を断念すると発表した。 実施されれば5年ぶり9度目の国内開催となったクラブワールドカップは、今年で創立100周年を迎えるJFA記念事業の一環として位置づけられてきた。しかし、新型コロナウイルス禍における感染拡大リスクが大きく、観客の入場制限によリ採算面も厳しいと判断したJFAが、主催する国際サッカー連盟(FIFA)と開催権返上について協議してきた。 開催権の返上に伴う違約金や補償金などは発生しない見通しで、代替開催地に関しては決まり次第、あらためてFIFAから発表される予定となっている。
「リスクが非常に大きい」
依然として終息する見通しがまったく立たない新型コロナウイルス禍が、ヨーロッパや南米をはじめとする6大陸のクラブ王者が一堂に会し、日本国内を舞台に世界チャンピオンの座を争うクラブワールドカップの開催を断念させた。 今年で18回目となるクラブワールドカップは当初、6月から7月にかけて中国で開催される予定だった。しかし、新型コロナウイルスの感染拡大に伴って開催地およびスケジュールが変更され、昨年末のFIFA評議会で日本での開催が決まっていた。 当初はヨーロッパ代表が8クラブ、南米代表が6クラブなど出場クラブ数を「24」と規模を大幅に拡大して中国で開催される予定だった。しかし、日本での代替開催決定をへて6大陸代表に開催国代表を加えた7クラブが参加する従来の形に戻した上で、今年3月のFIFA理事会で12月9日から19日までと具体的な日程も決まっていた。 すでにヨーロッパ代表として、昨シーズンのUEFAチャンピオンズリーグを制したチェルシー(イングランド)が決定。アフリカ代表にはアルアハリ(エジプト)が決まり、今後も南米代表を決めるリベルタドーレスカップ、アジア代表を決めるACLなどが大詰めを迎えていく状況下で、JFAも苦渋の決断を下さざるをえなくなった。 JFAの須原清貴専務理事は9日の月例理事会後のオンラインブリーフィングで、FIFAと重ねてきた協議がすでに合意に達していると明かした上で、開幕を3ヵ月後に控えた段階でのクラブワールドカップ開催断念に関してこう言及した。 「リスクが非常に大きく、日本での開催を見合わせることになった。いろいろなことがもっとクリアになったタイミングで、最終的に決断できればベストだったかもしれないが、さまざまな準備が必要な大会でもあるので、この時点で決めなければいけなかった。残念な決定だが、前向きに持っていけるようにしていきたい」