30歳目前の会社員。地元にUターンして「地方公務員」を目指すか、ほかの民間企業に転職するか迷っています。「生涯年収」はどれだけ変わりますか? 公務員のほうが安定しているように感じます…
新卒で就職する場合はもちろん、転職でも比較対象になる「会社員」と「公務員」。現在、民間企業に勤めながら転職を考えている人のなかには、地方公務員を視野に入れている人もいるでしょう。 一般的に「公務員は安定している」というイメージがありますが、生涯年収の面でみると会社員と地方公務員ではどちらが有利なのでしょうか? ▼「公務員は安定している」って本当? 定年退職の割合や退職金の平均額を教えて! 本記事では民間企業で働く場合と、公務員で働く場合で、どのくらい生涯年収に差が出るかをシミュレーションしていきます。
地方公務員と会社員の平均的な給与・年収の違いはいくら?
会社員も地方公務員も、年収は「毎月の給与+年2回のボーナス」で構成されているものと仮定します。 国税庁の「令和4年分民間給与実態調査」によると、1年を通じて勤務した給与所得者(正社員/正職員)の1人当たりの平均給与は523万円でした。男女別では、男性が584万円、女性が407万円となっています。 地方公務員の年収については「令和5年地方公務員給与の実態」という資料に記載があります。地方公務員(一般行政職)の平均給与月額、ボーナス、平均年収はそれぞれ次のとおりです。 ●平均給与月額+諸手当:約40万円 ●ボーナス(期末手当+勤勉手当の合計):6月・12月合わせて約155万円 ●平均年収:約635万円 ボーナスまで含めると、地方公務員のほうが100万円以上高くなるという結果になりました。
公務員と会社員では退職金と年金はどのくらい変わる?
生涯年収を考える場合、退職金の支給額も重要な要素です。厚生労働省の「令和5年就労条件総合調査 結果の概況」によると、大学・大学院卒(管理・事務・技術職)の平均的な退職金の金額は1896万円です。 地方公務員の退職金は一般職や教職員、警察など職業によっても大きく変化します。退職金でもらえる金額は職業次第です。 全地方公共団体で、25年以上勤続して60歳で定年退職した場合の平均的な退職金の金額は2188万円でした。あくまでも平均同士の比較ですが、退職金も公務員のほうが300万円近く高いという結果になりました。 前項の年収と本章の退職金を合わせると、22歳から60歳まで働くと仮定した場合の会社員と公務員の平均的な生涯年収は以下です。 ●会社員:523万円×38年+1896万円=2億1770万円 ●地方公務員:635万円×38年+2188万円=2億6318万円 会社員と地方公務員の平均的な生涯年収を比べると、今回のシミュレーションでは地方公務員の生涯年収のほうが4600万円ほど高くなるという結果になりました。