じつは日本人にとって、「疲労回復」のために「最適解」といえる「大豆の発酵食品」
軽い運動と呼吸で改善
軽い運動が疲労回復に良いことは、直観的にわかるだろう。血流が増えれば、それだけ疲労物質の代謝も早まる。筑波大学の研究でストレスに関係する脳の青斑核という部位が、運動によって活性化し、脳が覚醒することがわかった(※1)。 ヨガやストレッチ、散歩といった超低強度の運動でも、青斑核が活性化するとストレス反応が消え、脳は覚醒し、疲労感は減るという。青斑核は自信や好奇心にも関係しているので、疲れた時ほど散歩で少し歩くとか柔軟をすると脳の疲労が消え、自信が戻ってくる。感情も抑えられるので、ストレスからくるイライラもなくなるそうだ。 最新の研究では、呼吸と疲労の関係に注目したものが増えている。長時間のデスクワークで座った状態が6~10時間も続くと深部の体幹の筋肉が疲労する。脊椎が歪曲し、姿勢はどんどん悪くなり、全身の血流が停滞する。それが脳を疲労させるが、呼吸によって姿勢が改善、疲労も減少する。 スロバキアのコメニウス大学体育・スポーツ学部大学で、少なくとも2時間座っている25~44歳の職員20人を対象に横隔膜呼吸訓練という呼吸法を行った(※2)。いわゆる腹式呼吸で、腹部が膨らむのが見えるように、鼻から深く息を吸い込むように指導され、5秒間保持してから、口から息を吐く。これを10回行ってから、体幹筋の疲労度を電気刺激で測定、背中の疲労度は柔軟度でチェックした。その結果、体幹筋の疲労度は軽減、背中の柔軟性も回復した。 日々のデスクワークで疲れた人は、休憩時間に壁を背に立つか床に仰向けに寝た状態で腹式呼吸を10回行うと疲労は軽減される。 疲労は脳が原因で、自律神経が正常に動かずにリラックスできない状態だ。体を動かし、腹式呼吸をして副交感神経を無理にでも動かし、脳をリラックスさせてあげよう。 ※1「軽運動による脳の覚醒効果に脳幹の青斑核が関与する」(筑波ジャーナル2023.06.28) ※2「Diaphragmatic breathing exercises in recovery from fatigue-induced changes in spinal mobility and postural stability: a study protocol」(Autonomic Neuroscience 29 June 2023 Sec. )
川口 友万(サイエンスライター)