夏も冬もオールシーズンタイヤ1本で本当に大丈夫? ダンロップ話題の新商品「シンクロウェザー」に未来を感じた!【試乗レビュー】
2月の北海道・旭川で冬性能を試す
今年2月、旭川で行われた冬性能のテストでは、カローラツーリング(FF)に装着した195/65R15サイズのシンクロウェザー、スタッドレスの「ウインターマックス02(WM02)」、既存のオールシーズン「AS1」で乗り比べを行った。 結論から言うと、圧雪路面でも氷上路でもシンクロウェザーとWM02はほぼ同じグリップ力や制動力を発揮し、AS1を圧倒した。雪上では、WM02が大きなブロックと多くのサイプによるバイト感(雪をかむ感覚)で走るのに対して、シンクロウェザーはゴム表面の粘着力でグリップして走っている感覚で、その乗り味は異なるも安心感はどちらも高い、というものだった。 一方の氷上では、最後の止まる瞬間に、ギュッと氷を掴む感覚がWM02の方が高かったことを報告しておく。 また、コース外の一般路(圧雪状態)では、メルセデス・ベンツ「GLC」に装着した235/60R18サイズのシンクロウェザーで走る機会を得た。上り下りや直角の曲がり角、S字コーナーが存在する複雑なコースだったけれども、絶えずしっかりとしたトラクションが感じられて、ノンストレスで走り回ることができた。
5月の岡山で夏性能を試す
5月に岡山県で行われた夏性能のテストでは、シンクロウェザーとWM02、最高級サマータイヤの「ル・マンV +」を乗り比べた。ロードコースでは、さすがにサマータイヤの操縦性や静粛性は満足できるもので、シンクロウェザーの相手としてはもう1ランク下のタイヤにした方が良かったかも、という感じ。 とはいえ、シンクロウェザーもV字パターンのタイヤによくある「ザー」というブロックノイズがしっかりと抑制されていて、路面の当たりは柔らかく、スラロームではしっかりとグリップ。120km/h近くまで車速を上げても直進性が落ちなかった。 驚いたのは、たっぷりと水を張ったスキッドパッドでの定常旋回。ル・マンとシンクロウェザーが同じ速度で周回できたのに対して、WM02でその速度まで上げようとすると、一気にグリップを失って外側にはらんでしまったのだ。シンクロウェザーでは水スイッチが入ったことと排水性の良いV字ブロックによって、水膜をものともせず路面に接地していたのに対して、スタッドレスはウェット路面に本当に弱いことがはっきりと認識できた。 また、冬に乗ったのと同じ「GLC」に装着したシンクロウェザーで、郊外路を走り回った。こちらはクルマの基本性能自体が高いこともあって、静粛性をはじめとする走行性能には全く不満ナシだった。 試乗を終えて担当者に聞くと、「水スイッチも温度スイッチも、状況に応じて瞬時にスイッチが入ります」とのことなので、走り始めからすぐに何刀流もの性能が発揮できるという。となると、あとは耐久性。非降雪地帯のユーザーなら1年中装着することになるので、そこはちょっと気になるところだ。 これまでのタイヤとは一線を画する技術を投入した、“未来”のタイヤといっても良いシンクロウェザー。値段はサマータイヤのトップモデル並みと高価だが、マイカーに装着してぜひテストしてみたいと思ったほどだ。
文と写真= 原アキラ 写真= 住友ゴム工業